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    めてぃ

    結界師正良の妄想をほぼ壁打ちでただ垂れ流すだけのアカウント。
    あとは自作正良ぬいで色々と写真取ってます。
    メモとあるのはほぼ小説かほんとにメモだけです。
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    めてぃ

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    なんとかバレンタイン正良間に合いました。
    最後バレンタインポストにくださったネタ入れてあります。

    そろそろ仕事を終えようかと時音と話しているときにその人物は現れた。
    「やあ」
    やあ、じゃない。なんでこんな時間に現れたんだと不審な目で見ていると、背負っていた荷物の中からキレイにラッピングされた箱を取り出した。
    「ハッピーバレンタイン、時音ちゃん」
    「え?私にですか?」
    「そ、今どきは、男性からも渡すらしいしね。いつも愚弟がお世話になりっぱなしで」
    驚く時音に、チラッとこちらを見ながらその箱を渡す。その思わせぶりな態度が気に食わない。
    「ありがとうございます!まさか正守さんが来るなんて思ってなかったら私何も準備していないです。さっき良守には渡したんですけど。すみません」
    「いやいいよ。もらいにわけじゃないし。近くまで来たついでにね」
    恐縮する時音に、そう言いながらウィンクする。そのキザな対応はなんなんだ。というか、時音にだけなんでわざわざ渡しに来たんだろうか。
    「俺にはないのか?って顔だな」
    ジト目でにらんでいると、心の中を読まれた。
    「別に」
    欲しいわけではない。もらえるとも思ってもいなかったけども。それでも時音には渡して自分にはないというのはわざとしか思えない。そういう仲なはずなのに。
    「お前にはあとでな」
    「良守、よかったね」
    そんなに物欲しそうな顔をしていたのだろうか。時音にまで慰められるなんて。小さい子供みたいじゃないか。
    「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
    時音のその声をきっかけに家路に向かう。すると、正守も一緒についてきた。
    「なんで兄貴までついてくるんだよ?」
    「俺が家に帰るのそんなに変?」
    「変じゃないけど」
    変ではないがこの中に正守がいるのは違和感しかない。だが、たわいもない会話をしつつ、時音が今度プレゼントする約束までしている。二人仲良く話す後ろをついて歩きながら一人面白くない気持ちを持て余していた。
    門の前で来て時音に別れを告げると、引き戸を開けて中に入る。玄関まであと少しというところで、前を歩いていた正守が振り返って胸元からすっとチョコを出してきた。
    「お前にはこれ。はい」
    「え?」
    驚いてしまったのも仕方がない。時音にはキレイなラッピングの箱に入ったものを渡していたのに、今渡されたものは、小さいころからある有名キャラクターの顔を象った棒付きのチョコ。スーパーで100円で買えるやつだ。
    「なにこれ」
    思わずつぶやいてしまった。お前にはこれで十分だと思われているようで泣けてくる。
    急に顔が曇った良守を見て、正守はバツの悪そうな顔をした。
    「そういうつもりじゃないんだ。ちょっと懐かしいチョコ見つけたから思わず買ってしまったんだが」
    「別に金額とかじゃないと思ってるけど、それにしたってさぁ」
    悲しくなって不満がこぼれてしまう。
    「俺にとっちゃ思い出のチョコなんだけどな。お前は覚えてないかもしれないけど」
    そう言われてしまっては仕方なく記憶をたどる。こんな子供だましのようなチョコが正守の思い出になる出来事なんてあっただろうか。すると、ふと1つの記憶にたどり着いた。


    その日は、小学校から帰って来た正守に、女の子が何人も来ていた。かわるがわる来る女の子の対応を玄関でする正守の姿を柱に隠れてそっと見ていた。
    この光景を不思議に思い、台所で夕飯の準備をしていた父さんのところに尋ねに行く。
    「にいちゃんのとこになんであんなに女の子ばかりたくさんくるの?」
    すると、父さんは嬉しそうな笑顔で答えた。
    「正守はカッコイイだろ?モテモテで父さん嬉しいな。ホワイトデーの準備考えとかなきゃ」
    良守の質問の答えにはなっていなかったが、正守がカッコイイというのは分かる。
    「うん!にいちゃんカッコイイ!だから女の子が来てるの?」
    「そうだよ。今日はバレンタインデーと言ってね、好きな子にチョコレートを渡す日なんだよ」
    「ふーん」
    「あ、そうだ!父さんも良守のこと好きだから、今日は特別におやつあげちゃう」
    そういうと、戸棚からチョコレートを出してきた。良守も大好きなキャラクターをかたどった棒付きのチョコレートだ。一緒に買い物に行くといつも買ってもらっている。
    「お父さん、ありがとう!」
    「じゃあ、夕飯までいい子にしててね」
    「うん」
    もらったチョコレートを大事に抱えると、台所を出て茶の間に向かう。その途中で正守にばったりとで出くわした。
    「あ、兄ちゃん!チョコいっぱいもらったの?」
    「なんで良守が知ってるの?」
    見つかってしまってめんどくさいというのがありありと感じられる言い方をされる。
    「今、お父さんに教えてもらった。兄ちゃんがモテモテだからチョコいっぱいもらえるんだって。いいなぁ。よしもりも欲しいな」
    「だったらコレやるよ」
    抱えたチョコをちょうど台所に持っていく途中だったのか、たくさんある中から1つを渡された。
    「え?」
    「どうせ食べきれないし、良守にやる」
    「にいちゃん!ダメ!それはにいちゃんがもらったやつだもん」
    「結局、お前だって食べるんだから同じだろ?」
    「違うもん。にいちゃんのこと好きな子がくれたんだからにいちゃんが食べなきゃダメなんだもん」
    「でも、本命からはもらってないし」
    「ほんめい?」
    「一番好きな人ってこと」
    「ほんめいからもらってないの?」
    あんなにたくさんの子が来ていたのに、正守が一番好きな人はあの中にはいなかったということなんだろうか。
    「うん。やっぱり一番好きな人から欲しいだろ?」
    「そうなんだ?」
    その言い分はよく分からない。あれだけたくさんもらったら十分だと思ってしまう。
    「あ、良守。いいもの持っているじゃん」
    さきほど父からもらったチョコを正守が目敏く見つけた。
    「これ、お父さんにもらったの!」
    兄に自慢するように見せる。
    「ふーん」
    「あ、兄ちゃんにあげようか?」
    父さんからもらったチョコだったが、正守が欲しいというのならばあげても構わない。
    「んー。ちょっと待ってて」
    そう言うと、もらったチョコを台所へ置きに行ってすぐに戻って来た。そのまま手を引かれて茶の間に向かう。膝の上に抱えられて一緒にそのままコタツに入る。チョコをあげようと思っただけなのに、なんでこうしているのかよくわからない。でも、こうやって一緒にコタツに入るのは好きだ。
    「ねえ、良守。そのチョコちょうだい?」
    「いいよ!」
    やっぱりこのチョコが欲しかったのだ。好きな人にチョコを渡す日、それであれば大好きな兄に自分も渡したい。父にもらったチョコではあったが、自分で他に用意できるはずもないので、手元にあるこれを喜んで渡したい。
    背後にいる兄に振り返って渡すと、笑顔になっていた。
    「良守は兄ちゃんのこと好き?」
    「うん!大好き!」
    「本命?」
    「…んっと、本命!」
    さっき教えられたことを思い出す。一番好きな人のことを本命というならばそれは間違いなく本命だ。
    「そっか。兄ちゃんも良守が本命だから、このチョコ半分あげる」
    そういうと、パッケージを開けて2本入っているうちの1本を取り出すと良守の口に突っ込む。
    「ひいちゃんほ、よひほりがほんへい?(兄ちゃんも良守が本命?)」
    チョコで口いっぱいになってしまったがなんとか問いかける。
    「そうだよ。良守が本命だよ」


    「あっ……」
    「思い出したか?」
    「うん。懐かしいなぁ」
    その頃から両想いだったのだ。少し恥ずかしくなって立ち止まってしまった良守を置いて、正守は玄関の戸をあけ草鞋を脱ぎ先に部屋に向かう。
    慌てて自分も靴を脱いで玄関を上がるが、時音と同じく今日はチョコを準備していなかったことを思い出した。せっかく正守が100円のチョコとはいえ、良守のために買ってきてくれたというのに。
    自室に入った正守を追って良守も正守の部屋に入る。
    「あの、兄貴ごめん。まさか帰ってくるなんて思ってなかったからチョコもケーキも準備してない」
    「別にいいよ。たまたま寄っただけだし」
    「明日、明日何時までいる?ケーキ焼くから。材料はあるし」
    「いいって。それに学校だろ?夕方までいれるかわかんないし」
    「ごめん。じゃあまた今度来た時にでも」
    せっかくのバレンタインに会えたのに渡すことができないというのが悔しくなって涙が滲んでくる。
    「今度?いや、大丈夫。これからもらうし」
    「え?」
    「良守チョコを食べるから」
    「これからするのはいいけど、俺はチョコじゃないよ」
    すると、不敵な笑みを浮かべ袋からパンに塗るチョコクリームと筆を取り出した。なにをするのかハテナを浮かべていると、手を引かれて器用に布団に転がされた。
    「スーパーに寄ったらたまたま見かけてね。たまたまだよ?これを塗った良守を食べたら美味しいかなって。だから今日は良守がチョコになってね」
    突然そんなことを言いだした正守の意図が分からないくもないが、分かりたくない。
    たまたま見つけたのはあの棒付きのチョコの方であって、本当はこちらのチョコクリームが目当てだったのではないかと疑ってしまう。
    そうこうしているうちに簡単に衣服をはぎ取られる。
    「少しくすぐったいかもしれないけど我慢しろ」
    筆でチョコを掬うと良守の上に垂らし、そのまま塗り付ける。
    塗ったところを舌でペロリと舐める。
    チョコを舐めとるため、いつも以上にゆっくりねっとりと舌が這っていき、簡単にスイッチを入ってしまう。
    それに気をよくした正守は、感じやすい部分を中心にチョコを塗っては舐めとっていく。
    筆がさまようくすぐったさと、舐めとられるくすぐったさで気が狂いそうになるほど感じてくる。
    そして、いつも以上に甘く濃厚な時間が明け方近くまで続くのであった。
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