Unknown⑧ 人通りがほとんどないとはいえこんな往来でしていい話じゃなかったな、と僕がようやく自覚したのはそのときにようやくだ。
先輩が足を止めかけてしまったから。
それが、今更何を、という迷惑から困り果ててなのか、それともまた別の理由からなのかは分からなかったけど、とにかくそのままにはしておけなくて、
すみません急に、とにかく行きましょう
と促してまた一緒に歩き始めた。
お互い帰り道とは逸れるけどとりあえず、とすぐに大通りを外れて入ったのは細い路地。ここなら、短時間であれば立ち話をしても差し支えないだろうと判断して僕は話の続きをしようとしたんだ。
まずは、急に告げてしまって申し訳なかったと、それから、もしかつて教えてくれた話の相手が僕でなかったならこっちの勘違いだから気にしないで欲しいと、そして──もし勘違いでなかったとしても、今は違うのならそれはそれで構わないと、そう順を追って話すつもりだった。
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