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    Dochi_Kochi28

    @Dochi_Kochi28
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    Dochi_Kochi28

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    あもあき 
    バレンタイン1か月前だけど バレンタインネタ

    街中の装飾を見て、ため息をつく。
    このくらいの距離があれば、チョコレートの香りに眩暈はしないが、なんだか複雑な気分だ。

    バレンタインデー。

    あの時は、手作りクッキー、だとか、トリュフチョコ、だとか、色とりどりの包みをもらっては、送り主をすべて書き留め、上司にからかわれながらも律儀に少しずつ食べていた。
    そして、ホワイトデーに各部署を回ってお返しを配っていたものだった。

    今の自分にそれと同じことがあったら、たぶん、もっと苦労するのだろうか。
    何しろ、食べられない。
    無理やりにでも市販のものを買って、一口食べてみたことがあったが、そこからはもう駄目だった。機械油を無理やり口に入れたような感触と猛烈な眩暈しかなかった。

    今、望むものは?と聞かれたら。
    「1日だけでもいいから、味覚を戻してくれ!」
    そうとでも言ってしまうかもしれない。また、あの甘さを味わいたいから。
    どう断るべきか、も考えておくべきなのだろうか。
    ぼんやりと、街中の赤とハートだらけの装飾をうらやまし気に見つめながら、いつもの帰り道を歩いていった。

    「帰ったか。」
    ドアを開けた途端、鼻をくすぐるコーヒーの香り。
    リビングのテーブルに腰かけて、アキラがコーヒーを飲んでいた。
    促されるままに、上着を脱いだ俺はその向かい側の椅子に座った。
    「キミも飲むといい。」
    ガラスのポットから注がれた一杯に口をつける。

    なんというか、いつも2人で飲んでいるものと香りが違う。眼帯ほどコーヒーに詳しくはないが、それでも苦さ、だとかが微妙に弱く、甘みや香りが強いように思えた。

    「エアロプレス、だそうだ。」

    この手品のタネをバツが悪そうにアキラは差し出した。
    目の前に差し出されたのはプラスチックの筒がいくつか組み合わさったコーヒーメーカー。それといくつかの種類のコーヒー豆だった。

    「豆を入れて、お湯を注いで、混ぜて、時間を計って、押し出す。・・・これなら君でも扱えるだろう??」
    「それはわかったが・・・どうして、またこんな時に?」

    「ば、バレン…タイン、だ。チョコレートは私しか食べられないが、コーヒーなら、君と一緒に飲めるからだ。・・・おい、何をにやけている…っ!甘い香りが強いものを選ぶのもたいへんだったんだからな!」

    だめだ。アキラ。そこまで言ったらもう照れ隠しなんか俺には通用しないのはわかっているだろう?
    顔を真っ赤にしてコーヒーカップに口をつけながら、目つきを悪くして睨んでくる姿も、愛らしく見える。

    「ありがとう。練習する。」
    「豆の無駄遣いはするなよ。」

    チョコレートはだめだけど、コーヒーなら。
    2人で美味いコーヒーを飲みながらこうやって話ができるように、練習しないといけないな。
    今の俺には、このコーヒーは、チョコレートよりずっと甘くて、美味しい。そう思えた。
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    Dochi_Kochi28

    DOODLEアトルガンの秘宝のネタバレ並びに「特定のシーンのIF展開」が含まれています。
    パラレル作品が苦手な方は閲覧にご注意くださいますようよろしくお願いします
    「隻眼の獅子」  

    「あいたたた。」

    急ごしらえの右腕の「代わり」が悲鳴をあげる。なじむまでに半年はかかる、と言われた。それでも最近やっと動かせるようになった。

    右側が真っ黒の視界には、随分慣れた。代わりに自分の「普通ではない」聴覚に救われた気もする。右目の代わりに右耳が「目」になってくれている、とでもいうのだろうか。おかげでこの大通りを人にぶつかることなく、今、歩けている。

    馴染みの茶屋で、いつも通りにチャイを二杯。最近開発された試作品の保温容器に入れて貰う。それから、いつものイルミクヘルバスも注文した。今日はいつもと違って、持ち帰りだけれども。


    「よう、若いの。いつものお嬢ちゃんはどうした?」
    「今日はちょっと。仕事が忙しくて。」

    チャイの入った保温容器と、イルミクヘルバスの入った包みを提げて、元来た道を戻る。
    帰ったら、また整備を頼まないといけないな。
    整備中、また物珍しさにやって来ないと良いけれど。

    「オートマトンをみてるから、平気だもの!」
    出来上がったばかりのこの義手を、綺麗な宝石みたいな目をかがやかせて、あちこちみられたのは、その、控えめに言って心臓に悪か 2591