ひとひらが合図【凰孝】 ふわりと優しく、触れるだけの口付けが唇に落とされて、目を瞑ったらそれが始まりの合図になる。
「ん、んぅ」
ちゅ、とかわいらしい音は、次第にくちゅくちゅといやらしい水音へと変わって、鼓膜を揺らした。
ほらまた、 徐々に深くなっていく。
「は……」
伏せていた目を開けてちらりと凰香を覗き見ると、ふさふさの長いまつげ。綺麗だ。
それに、透き通るような白い肌…は、今は紅潮していて、かわいらしい印象もある。
でもなによりも、こうしている時に眉根をよせて欲望に満ちた表情をしているのに、グッとくるしゾクゾクしてしまう。
「……たかあき?」
ほら、少し呂律が回らなくなってきた呼び方だって、愛おしくてたまらない。
長い長い時間をかけて口付けていたような気がしていたけど、こういう反応を見ると名残惜しくなってしまう。
「おーか」
ゆっくりと確かめるように名前を呼んで、指で唇をなぞると、凰香の瞳に欲望の火が燃え上がる。
「ねえ……もっと、」
もっと欲しい。息が出来なくなるまで。
ーーきゅんと締めつけられる胸や身体が示す、その先も。