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    @iiitbutit14

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    丼天さんちの先祖返りのアケ▽ちゃんの設定をお借りしたG▲さん×アケ▽ちゃんの三次創作です。二人はお付き合いしております。諸々許可済!

    爪の先に灯る熱 柔らかな羽毛の生えた腕を、恭しく手に取る。
     そのあたり心地良い感触を辿った先にある、普通のヒトの肌より少し硬い皮膚と、淡い朱色の太い指。只人では持ち得ない鉤爪は、一週間も放って置けばすぐに鋭く尖った状態に戻ってしまう。割れたり傷付いたりしていないかを丁寧に検分しながら、ノボリは鉤爪の先端のひとつひとつを短く切り揃えていく。
     リビングにパチン、パチンと一定のリズムが響くのを聞きながら、クダリはふあ、と大きく欠伸をする。後ろを陣取るノボリに凭れかかるようにしてだらんと体重を預け、夜寝る前に爪の手入れをするのは、大きくなってからの二人の約束事だった。
     クダリは器用な方ではあるが、身体がよりアーケオスに近く成長して以降、普通の人間とは違ってあまり細かい作業は出来ない。だからこうしてノボリが頻繁にケアを手伝ってくれるのだ。
     しかしながら、今日は普段と比べて随分と入念にしている気がする。心なしか爪の長さも常より短く、ヤスリがけに至っては普段の倍以上は時間を使っているようだった。ぬくぬくと温かで心地良い片割れの体温に包まれて微睡みながら、クダリが僅かに首を傾げた。
    「ノボリ、今日は随分丁寧だねぇ」
    「えぇ。わたくしの…ひいては、あなたのためですから」
    「んー、うん…………うん?なに?どういうこと?」
     いつもの長さでは何が駄目なのかとクダリが振り返れば、ノボリは熱心にヤスリを動かしながら答えた。しかしその視線はクダリには向かず、一心にクダリの鉤爪へと注がれている。随分と集中しているようだった。
    「あなた、たまにシーツを駄目にするでしょう?」
    「…えっと…それは、本当にごめん…」
    「ああ!すみませんクダリ。あなたを責めるつもりは毛程もないのです。シーツなど買い替えればいいだけですから。ただ、あなたの爪がシーツばかりを引っ掻くのがどうにも悔しくて」
     クダリがしゅんと落ち込んだ気配に慌てたノボリは、柔らかい羽毛の生えた後頭部にキスをして、愛しい片割れの身体を強く強く抱き締めた。そのまま耳や首元や、皮膚が薄い箇所にも何度も唇を押し当てられて、クダリは身震いする。
    「…っ、悔しいって…なんで?」
    「クダリはいつも、わたくしを傷付けないようシーツばかり掴んでらっしゃいますよね」
    「…ぇ…っと、それっていつの……あっ」
     クダリは確かにシーツをたまに破くが、大体が寝惚けてしまった時だったり寝相が悪かったりした時の話である。しかしノボリが示したのはそういった何気ない日常の話ではなくセックス中の事であると、クダリはすぐに気が付いた。
     ちょうど先日激しく交わった際、快楽が過ぎてしがみ付いたシーツをずたずたに破いてしまったのだ。
     その日は互いに随分と興奮するバトルを体験した直後で酷く気分が高揚していたから、互いを貪り尽くそうと噛みつき合うように交わった事を、クダリはよく覚えている。行為中のノボリが見せる捕食者のような熱く苛烈な眼差しを思い出して、抱かれ慣れた腹の奥がきゅんと疼き、身体中の羽根がぞわりと騒めいた。居た堪れなさに距離を取りたくとも、ノボリの腕はクダリの腰をしっかりと抱き込んで逃してくれる気配は全くない。
    「あなたのその優しさは尊く眩いものですが、わたくしとて男です。たまにはあなたに縋られたい。肌と肌を合わせて直に体温を感じながら、あなたに求められたい」
    「ぁ…っ」
     切実な響きをもって囁いたノボリは、自身の腿の上にだらんと乗っかっていたクダリの尻尾をするりと撫でてその先端を持ち上げ、つやつやと鮮やかな鱗のひとつにキスを贈った。それはいつの間にか暗黙の了解となっていた夜のお誘いの合図で、クダリはぞくりと背筋を震わせる。
     要するにノボリは、手ずから整えたクダリの丸く可愛いらしい鉤爪で背中に縋り付けと言っているのだ。快楽に溺れて前後不覚になったクダリに、まっさらな背中を痕が残るくらいに強く引っ掻かれたいのだと、言っているのだ。それはつまり普段のような優しく穏やかなセックスではなくて、クダリを快楽の底に突き落とすような激しい攻め方をすると宣言しているようなものである。
    「クダリ、わたくしの愛しいあなた。お返事を聞かせて下さいますか?」
    「もう……きみって本当にずるいんだから。嫌なわけ、ないよ」
     クダリが振り返れば、嬉しそうに微笑んだノボリと目があった。そっと唇を合わせれば喜色満面といった様子で目を細めるので、クダリはむず痒い気持ちになって、ぱっと前に向き直る。
    「ふふ、ありがとうございます。では、残りの爪も仕上げてしまいましょう」
    「…ん、よろしくね」
     自ら手を持ち上げれば、ノボリの温かな手のひらがクダリの少し大きな手を包み込んだ。慣れ親しんだ、ほっとする片割れの体温。
     この穏やかな時間が終わったらきっと、この大好きな体温を直接胸に、腹に、腕に、背中に…全身に感じながら奥まで深く貫かれて愛されてしまうのだろう。そう思うと何だか今この瞬間もとてつもなく恥ずかしい事をされているような気がして、クダリはそわそわと落ち着かないような気持ちになって身動いだ。
     ふっと笑みを溢す背後の片割れも恐らく、確信犯なのだろう。
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