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    ブラスタ(ソテケイ/黒ケイ/ケイ受け/他は筆が乗ったら)

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    ソテケイ風邪ネタ

    ##ソテケイ

     なんとなく…なんとなく、ケイの顔が赤くなっている気がする。なんでもない表情をしているが白い頬が上気しているように見えるのは俺の思い違いだろうか。いつもより少しだけ呼吸も荒く肩で息をしているようだ。もしかしたら風邪をひいているのかもしれない。
    「ケイ」
    「なんだ?」
    「お前、体調悪いんじゃないか?」
    「そんなことはないが……」
     そう言いつつもどこか覇気がない返事に、やはり様子が可笑しいと思った。今日はもう帰って休んだ方が良いのではないかと言ってみるが、ケイはそれを拒否する。
    「いや、大丈夫だ」
    「本当か?」
    「あぁ」
    「…お前がそう言うんなら」
     王様本人がこう言っている以上、諦めるしかなかった。言ったところで今みたいに聞きやしないし、無理に止めても強情になるだけ。
    「辛くなったら直ぐ言うんだぞ」
    「何故貴様に言わねばならん」
     そう言いながらケイは事務室のソファに座り込んだまま動かない。やっぱり調子が悪いようだ。
    「ケイ」
    「……なんだ」
     俺が呼びかけても顔を上げることなく俯いたままだった。心做しか声音も先程より元気が無いように思える。
    「なぁ、俺にはどう見てもあんたの具合が悪そうに見えるんだが…本当に平気なのか?」
    「問題無いと言っているだろう。しつこいぞ貴様」
    「そうは言ってもな……。とりあえず、ちょっと待ってろよ。なんか飲み物でも持って来る」
     そう言って事務室を出て行こうとすると背後から「必要ない」と止められた。が、そのまま出て休憩スペースにある自販機からスポドリを買い、再び事務室へ戻ると、ケイはソファーの上に横になっていた。足早に近づき膝を折って確認すると規則正しい寝息が聞こえてきた。どうやら眠ってしまったらしい。起こさないよう誰かの置きっぱなしのブランケットを掛けてから顔色を伺う。眉間にシワを寄せ苦しげにしている様子を見て、額に手を当ててみると、案の定熱があるようだった。ここ数日忙しくロクに寝ていなかったのだろう。目の下の隈が前より濃くなっている。メイクすらする余裕がないくらいの状態ではもう仕事どころではないはずだ。
     一先ずソテツはボトムスのポケットからスマホを取り出しタクシーを呼び付ける。それから数分後、辺りに誰もいないことを確認してからケイを抱き上げると裏口から抜けて行った。


    「ん……」
     ゆっくりと意識が浮上していく感覚に目を覚ます。視界に映るのは見慣れた自室の天井だ。確か、俺はスターレスに出勤して……それで?それからの記憶が曖昧で上手く思い出せない。
    「目が覚めたのか」
     突然の声に驚きそちらを見ると、そこにはソテツの姿があった。どうして彼がここにいるのだろうと思うも、何故だか酷く安心感を覚えてしまう。
    「気分はどうだ?」
     言われてみれば、頭はぼんやりとするし身体も怠い。どうやら、自分は体調を崩していたようだ。それを自覚した途端、身体の不調をより強く感じるようになった。
    「最悪だ」
     素直に答えると、ソテツは苦笑を浮かべる。そして、体温計を差し出してきた。大人しくそれを受け取り脇に挟み数十秒。電子音が鳴り響き表示された数字を見て思わずため息が出た。


     ケイから受け取った体温計の画面には三十八度ジャストの表示。こんな状態でよくもまあ平素を装って堂々出勤してきたもんだ。流石はケイ様……といいたいところだが今回は褒められたもんじゃない。
     取り敢えず買ってきた解熱剤を飲ませてから布団に押し込む。薬が効いてくるまで安静にしていろと言うとケイは渋々といった様子で従った。
    「何か食べれるようなら、お粥とか作るぞ」
    「食欲はない」
    「だろうな。じゃあせめて水分だけでも取っておけ」
    「……」
     返事はないが拒否はされなかった。キッチンに向かい、冷蔵庫の中から水を取り出す。グラスに注いでケイの元へ戻り手渡そうとした。しかし、ケイはそれを受け取ろうとはせずじっと見つめているだけだった。
    「ほら、ちゃんと飲んで休め」
    「……何故、貴様にそんな事を言われなければならぬ」
    「お前今自分がどんな状態か分かっているのか?」
    「分かっている。だからこうして大人しくしているのではないか」
    「ならいい加減大人しく、」
    「嫌だと言っている」
     頑なに王様は拒み続ける。
    「おい、あんま我儘言うなよ」
    「貴様に指図される筋合いなどない」
    「あのなぁ……!」
     この期に及んでまだ強情な態度を取るケイに呆れを通り越して怒りを覚える。普段であれば多少強引にでも言い聞かせるところではあるが、病人相手にそれは出来ない。それに何より弱りきっている人間にそんなことするほど腐ってはいない。
     ケイが風邪を引いてしまった原因は恐らく過労によるものだろう。ここ数日まともに睡眠を取っていなかったせいで免疫力が低下したところにウイルスが侵入してしまったに違いない。ケイの性格上、周りに迷惑を掛けまいと無理をして仕事をしていた事は容易に想像出来る。とはいえ、ここまで意地を張るとは思ってもみなかった。頑固な部分があると分かってはいたが、体調が悪い時くらい少しは甘えればいいものを……。
     どうしたものかと悩んでいると、不意に腕を掴まれた。見るとケイの手が袖口を握りしめていた。驚いている俺を無視してそのまま引っ張ると、俺の腕の中に収まる。
    「……えっと……?」
    「黙って抱いてろ」
    「……仰せのままに」
     そう言うと、ケイは俺の胸に顔を埋めた。これは相当参ってるな……。ケイは俺が今まで出会ってきた人間の中でも群を抜いてプライドが高い。その性格故に、他人に頼るという事を知らない。だからこそ、ケイが素直に頼ってきてくれた事が嬉しかった。
     ケイの頭を撫でながら背中を擦ってやる。すると、次第に呼吸が落ち着いてきて、程なくして眠りについた。起こさないようにそっとベッドに寝かせ直す。額に手を当てると、先ほどよりも熱くなっているのがわかった。冷却シートを貼ってやろうと立ち上がると、服の裾を引っ張られた。振り返ると、目を覚ましたらしいケイと目が合う。
    「すまない、起こしたか」
    「……」
    「どうかしたのか?」
    「…行くな」
     どうやら、何処かに行こうとしたのを止めたかったようだ。
    「心配しなくてもここに居座ってやる。だからゆっくり寝とけ」
    「……」
     安心させるように声をかけるが、それでも不安そうな表情を浮かべている。仕方がない。ここは一つ、子供騙しのような手を使うとしよう。熱い頬を一撫でしてからキスを一つ。
    「っ!?」
     驚いたのか、ビクッと身体を震わせる。そして、みるみると顔を赤く染めていった。
    「どうだ?これで安心出来たか?」
    「……別に、そういう訳では……」
    「素直じゃないな」
     ニヤリと笑ってみせると、ますます恥ずかしくなったようで布団を被って隠れてしまった。普段はあんなにも偉そうにしているくせにこういう所は可愛いんだよな。思わず笑みが零れる。だが、あまり揶揄いすぎると後々面倒な事になるかもしれない。名残惜しいが、そろそろ止めておくとするか。
    「おーい、出てこいよ」
    「うるさい、黙れ。さっさと帰れ」
    「そんな寂しいこと言うなって」
     布団越しにポンポンと叩いて宥めてやる。暫くそうしていると、ようやく落ち着いたのかゆっくりと出てきた。
    「……貴様のせいで風邪を引いた」
    「おーそうだったのか、そりゃ悪かったな」
    「お前が責任持って看病しろ」
    「へいへい、仰せのままに」
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