なんとなく…なんとなく、ケイの顔が赤くなっている気がする。なんでもない表情をしているが白い頬が上気しているように見えるのは俺の思い違いだろうか。いつもより少しだけ呼吸も荒く肩で息をしているようだ。もしかしたら風邪をひいているのかもしれない。
「ケイ」
「なんだ?」
「お前、体調悪いんじゃないか?」
「そんなことはないが……」
そう言いつつもどこか覇気がない返事に、やはり様子が可笑しいと思った。今日はもう帰って休んだ方が良いのではないかと言ってみるが、ケイはそれを拒否する。
「いや、大丈夫だ」
「本当か?」
「あぁ」
「…お前がそう言うんなら」
王様本人がこう言っている以上、諦めるしかなかった。言ったところで今みたいに聞きやしないし、無理に止めても強情になるだけ。
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