君が笑ってくれるなら14歳。それは思春期真っ只中の時期――
放課後の教室に帰宅部の二人がいる。
「このクラスってモブと俺しか帰宅部いないの?」
「うん。そうみたいだよ。皆部活入ってるって。やっぱり部活動で青春すべきだったかな。霊幻くんどう思う?」
モブは机に突っ伏した。そのサラサラの一直線に切りそろえられた漆黒の前髪が机に触れる。
「なぁ〜に言ってんだモブ! 学校には有象無象がいるが、周りに影響されるな。俺の持論じゃ帰宅部が最強だよ。人生において最もダラダラできる期間を有効に使ってダラダラしてる勝ち組が俺たちだ!」
霊幻は突然立ち上がって、早口で如何に帰宅部が素晴らしいかの演説を始めた。
「…………そうでもないような」
霊幻の演説は見事あっさりと流されてしまった。それでも負けじとモブに畳み掛ける。
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