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    はるしき

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    はるしき

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    白昼夢(李楽)
    お題ガチャ『毎日のように高解像度の楽進が夢に登場するので現実との区別がつかなくなってくる李典。』
    #お題ガチャ

    ##李楽

    白昼夢その時、俺は広間に向かう回廊にいた。
    あぁ、また夢か。俺は回廊の柱や天井を見回しながら直ぐにピンときた。普段忙しくて走り回ってる文官が一人もいないから、これは夢だ。
    最近やけに、現実味が強い夢をよく見る。怪我をしたり、水に触れたり。感触だってある。
    それと、夢でよく会う奴もいる。
    「あ、李典殿、こちらにいらっしゃったのですね」
    「楽進」
    案の定。俺の夢は都合がいい。
    突然現れた楽進は如何にも夢らしく、戦に出るかのような鎧をきちんと着て俺に声をかけてきた。
    俺は楽進のことが好きだ。無論、そういう意味で。
    だから楽進が夢に出てくるのは嬉しい。
    昨日は一緒に遠駆けに出た。夢の中だけど、風を感じて確かに楽しかった。おとといは、何だったかな。毎日夢に楽進が出てくる。
    「李典殿がどちらにもいらっしゃらなくて、探してしまいました」
    「俺を?」
    なんと、と楽進は目を丸くする。
    「今宵は共に食事を、と約束していたではありませんか」
    そうだっけ?
    あぁ、まぁ夢だからそういうことなんだろうな。
    「あーそうだった。悪い悪い」
    忘れてた俺を咎めるような、不満げな表情を浮かべた楽進。そんな顔するのか、あんた。唇尖らせて。あぁ、可愛いな。好きだ、好きだ、楽進。
    けど、すぐ楽進はいつものように目を細めて微笑む。その顔も好きだって思う。楽進の全部が、俺は好きだ。
    「それで、ですね」
    李典殿、と。
    「明日、私は休みをいただいているのですが、李典殿はいかがでしょうか…?」
    明日?
    「休みだけど」
    そう、俺は今日調練で、明日は休み。夢の中の俺はそういうことなんだ。都合が良いのは夢だから。
    「では、その」
    きゅ、と俺の指をつかむ。
    楽進の目はわずかに潤んでいて、子犬を思わせるような目をしていた。
    「泊まっても、よろしいでしょうか」
    おずおずと見上げながら問う楽進。
    俺と楽進は、そんな泊まり合うような関係だったか?
    「楽進……」
    あぁ、そうか。これは夢だから。
    夢の中だから。夢の中でくらい、いいだろ。
    俺は楽進の指を絡めとり、空いている手を腰に回して抱き寄せて。
    少し空いた唇に。




    目を開けた俺は回廊のど真ん中にいた。
    「……あ……?」
    普段忙しく走り回ってる文官が一人もいない。回廊には俺しかいない。
    なんだ、これも夢か?
    回廊の柱や天井を見回す。夢と区別がつかない。正直、夢よりか少し色褪せているように見える。
    「あ、李典殿、こちらにいらっしゃったのですね」
    楽進が俺の元に駆け寄ってきた。
    「がく、しん」
    夢と同じように、鎧を着て俺の前に現れた楽進。
    あれ、予知夢だったのか?
    「今宵は共に食事をと約束しておりましたが、大丈夫でしょうか?」
    「え、ぁ…?」
    これも夢と同じ。いや、現実だったのを夢に見た?
    どっちが夢で、どっちが現実なのか。
    「…李典殿、顔色があまりよろしくない様子ですが」
    楽進の手が俺に伸びる。
    俺は咄嗟にその伸びた手を掴んだ。
    夢と同じくらい温かい、楽進の熱が伝わる。
    「あの…李典殿……?」
    掴まれた腕を締め付ける指の力に困惑する楽進が李典を見やる。
    李典は楽進の腕を掴んだまま、冷や汗を額ににじませた。
    これは、夢と現実、どっちなんだ?
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