「大好きだからさよなら」みたいな台詞
お互いに好きだけど些細な諍いによって上手くいかなくなっていく
好きだからこそ辛いね　もう別れよっか
そして最後に一日デートをする
帰り道に見た夜空を一生忘れないだろう

的な映画をシアタールームで見ている
主題歌がエモくて良い
エンドロールでふたりの写真が流れるという演出も良い
恋人の鋭心とふたりで感想を話す
「好きなのに別れるってどんな感じなんですかね」
「自分の幸福よりも相手の幸福を優先したいという思いがあったようだが」
幸福って優先する必要あるのか？ふたりで見つけたり守るものじゃないのか？
「俺は全然分かんないな。だって、お互いにそう思ってるなら別れる必要なくないですか？」
くす「俺は安心していいということか？」

　うきうき

　いつも通り、しっかりと鍵のかかった部屋に入ります。以前は「お前、どうやって入ってきたんだよ！？」なんていつでも新鮮なツッコミを炸裂させていたけれど、今はその声もありません。寂しいものです。それどころか、ベッドの下を漁ってみても反応ひとつありませんでした。そうそう、所縁くんのベッドの下には何があると思いますか？　答えはCMの後で！

　実は所縁くんはもう死んでいるんじゃ……なんて思っている方もいらっしゃると思います。
　その通り、

　……なんて言うと思いましたか？
　所縁くんはちゃんと生きています。

　ただ、最近の所縁くんは、何かに取り憑かれたかのようになっていました。一人の時もぶつぶつと何かを呟くようになり、身なりも整えず、それはもう恐怖すら抱くほどです。受験ノイローゼかな？　なんて思っていましたが、

読切ドラロナ小話目覚めたらそこは、楽園だった。
床に座り込んだ形で復活した私の眼前の景色には、色気たっぷりのうなじがバーン！と広がっている。しかも汗をかいてしっとりと濡れた銀色の後れ毛が張り付いた絶景。
「フッ……ッ……」
乱れた呼吸音とともに、その後れ毛から滴り落ちる汗。うなじを伝う様子をじっと見ていたいのに、それはすぐに床に倒れて一瞬で隠されてしまう。
しかしまたフッと漏れ出す声とともに眼前に戻ってきて、一瞬遅れて鼻腔にふわりとその馨しい汗の匂いを届けた。
ごくり。
思わず喉が鳴る。
その音が響いたような気がして慌てた拍子にパサリとマントが翻った。
「……あ？復活したのか？」
目の前にあった色っぽいうなじがくるりとふり返って、綺麗な青い宝石にかわる。