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    そまふみ

    @somahumi_though

    イラストまとめとかSSとか。センシティブなのもあります。夢、書いてる、ヨ。

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    そまふみ

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    ZZZのオオカミ執事さん夢。怪我した夢主とライカンさんの話。

    止血、説教、庇護欲「申し訳ないんだが、医者を呼んでくれるか」
     依頼を終わらせて帰ってきたハリスは、軽傷かのようにそれだけ口にした。──ベストに包まれた腹から、大量の血を流して。

    「キャン!」
     ガーゼで強く押して止血をすると、痛いのか涙目でキュウキュウと鳴く。その声を聞いていると罪悪感に苛まれるものの、やはり怪我をしたことへの怒りが勝っていた。
    「ハリス」
    「ん……?」
    「何故このような重傷を?」
     金色の瞳は涙で潤み、痛みで揺れている。だがそれをしっかりと見つめ、問い詰めた。
    「ええと……今回の依頼はホロウ内部での捜し物。なおかつそれが本人にしかわからないような特徴のため、依頼人の同行有り。ここまではいいな?」
    「はい」
     頷くと、ハリスの顔に少し後悔が滲む。どれに対してのものかは、わからないものの。
    「だが依頼の品の近くでエーテリアスの襲撃を受け、よりにもよって依頼人に狙いをつけたためそれを庇った。エーテリアスは撃退し、依頼の品も無事だったものの、このザマというわけだ」
     自嘲し、首を振るハリス。それを見ていると、どうにも心が騒いだ。
    「エーテリアスへの警戒は怠らなかったが、人を庇いながら、というのは少し……だが依頼は完了している。心配するようなことは何も……」
    「──あなたは何か勘違いしている」
    「え?」
     細い腕を引っ張り、その瞳を至近距離で見つめる。動揺で揺れる金色に、少しだけ胸のすく思いがした。
    「私は、依頼のことを案じたわけではありません。あなたの痛み、あなたの身体、そういうものが心配なのです」
     そこまで言って、まだ困惑の色が浮かんでいると気づく。なので、はっきりと口にすることにした。
    「あなたに怪我をしてほしくない。あなたに痛い思いをしてほしくはない。私は、あなたの友人として、あなたを心配しているのです」
    「…………ぁ、えと……ごめん……」
     ぺたりと耳を伏せ、今にも泣きそうな顔でハリスは謝った。ああ、そんな顔をさせたかったわけではなかったのだが。
    「その……本当に、ごめんなさい。私は……貴方の気持ちを、蔑ろにしたんだな」
    「そうかもしれません。ですが……今ご自覚していただいたので、精算と致しましょう。よく頑張りましたね」
     言いながら背を撫でると、ハリスは驚いた顔をした後、とうとう泣き出してしまった。泣くことに慣れていなさそうな、抑え込むような声で。
    「ひぐっ、ふぇ、うぅ……!」
    「よしよし……痛かったでしょう。きちんとお医者様にかかりましょうね」
    「うん……」
     普段であれば、決して見ないような顔。それを眺めながら、「この人は守らねばならない」と強く感じるのだった。
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