【MH夢】欲しがり「うむ、完璧」
くるりと鏡の前で回り、装備の調子を確認する。
赤の隊カーニャの依頼で狩猟したタマミツネ。その装備は流麗で、とても美しい。
「ふふん、今日のおれも世界一可愛いな」
自画自賛をして、上機嫌でテントを出る。アルマやナタに挨拶をした後は、少しベースキャンプを散歩することにした。
「あっ! 新しい装備にしたの? 可愛い〜! 色も似合ってるね!」
星の隊のエリックが、喜んで褒めてくれる。それに気を良くして「そうだろうそうだろう」とくるり回ってみせた。
「ほう。タマミツネの装備か」
と、その後ろから声がかかる。明るい茶髪に、すっきりとした装備……同じく星の隊のオリヴィアさんが、そこで微笑んでいた。
「びっくりした……足音くらい立ててくれ」
「ふふ、すまないな。それにしても……よく似合っている。この色は自分で変えたのか?」
そう。おれの装備は、本来の薄桃色から紫色に変えている。昔の友人が似合うと言ってくれた色だ。
「うん。可愛いだろ」
「そうだな……けれど」
オリヴィアさんは、ずいとおれに歩み寄る。その目には、少し不満の色が見えた。
「それを一番に見たのが私ではないというのは、少し悔しいな。君の初めては、いつだって私がいい。……というのは、さすがにわがままだな」
苦笑して、「忘れてくれ」と言う。けれどおれは、その言葉の意味を想像して顔を真っ赤にした。
「そ、それって」
「わあ、オリヴィアったら大胆!」
「茶化すなエリック」
エリックは笑って、「じゃあ僕はお暇しよっかな」と去っていった。そこに残されたのは、おれとオリヴィアさんの二人だけ。
「……君の想像する通りだな。私はきっと、君に対して貪欲なんだ」
そう言って苦笑する顔が、普段より可愛らしく見えて。何も言えなくなってしまい、その手を取るだけになった。
「こんな私を、君は許してくれるか? 自分でも、薄気味悪いと思うのに」
「そんなの……当たり前だろ。オリヴィアさんから求められるなら……おれは嬉しいよ」
素直な気持ちを伝える。すると、オリヴィアさんは目を見開いて、その後におれの手を強く握った。
「まったく……君はずるいな。そんなことを言われたら、抜け出せなくなってしまう」
手を引かれ、抱きしめられる。その温かさに身を委ね、大人しく甘えることにした。