SKaRD、ロッカールーム「ゲント隊長。ブレーザー、どうお思いですか。」
SKaRDCP、ロッカールーム。
休憩時間を過ごしにやって来たゲントの背中に声がかかった。
「いきなりどうしたの。」
いつもの真剣な表情を向けてくる優秀な副官に、静かに向き直る。
「以前、あなたは仰いました。今はまだ、様子見だと。
近頃は―仲間だと、そう仰いますね。」
一言一言、噛み締める様に言う。
「あぁ。仲間だよ。何度も助けてくれた。
テルアキもそう思ってると思うんだけど、違う?」
「違いません。私も彼のことを仲間だと思っています。
隊員たちや、アースガロンと同じ、SKaRDを支え共に戦う仲間だと思っています。」
いつになく慎重に言葉を紡ぐ副官を、明るい茶色の瞳が見つめている。
「なら、それでいいでしょ。」
「ええ、それでいいんです。私たちは。」
「あれ、俺含まれてない?」
「ゲント隊長、単刀直入に伺います。」
キリリとした姿勢をさらに正してテルアキは言う。
「貴方は、ブレーザーの、“何”ですか?」
「何。とは?」
気付いているのか。
「皆はまだ気づいていないようですが、貴方はブレーザーと何か関係がある。違いますか?私は何度も彼と共闘しました。地上で、指揮所で、アースガロンで。彼と共闘して居る時、いつも私が指揮を執っていますね。
その時貴方は、どこで、何を、しておられるのですか?」
「……。」
「ヴァラロン戦、私に指揮権を譲渡した時、貴方は医官の下に行ってはいない。そうですね?」
「……。」
「ゲント隊長、貴方は一体…」
真っすぐに、射貫くような目が見つめている。
碧い燐光にテルアキは思わず口をつぐんだ。
この色を、この碧い光を知っているのだ。
「…ブレーザー…?」
「テルアキ?」
急に黙ってしまった副官に声をかける。
彼は少し驚いたように瞬きをして、視線を泳がせ、それから静かに息を吐いた。
「いえ、何でもありません。出過ぎたことを申しました、忘れてください。」
「そうか。ええとな、俺はブレーザーを仲間だと思ってる。
大切な、相棒だと思ってる。これでいいか?」
「ええ。問題ありません。彼が何者だろうと、どこから来て、何を考えているのか、それは些細な問題です。何があろうと今や彼は私たちの仲間、それでいいと、思います。」
それでは、と一礼してテルアキは部屋を後にした。
いずれその時が来るかもしれないが、今はまだ、確信しなくてもいいのだ。
何があろうと、彼らが仲間であることに変わりなはい。そう判断した。
優秀な副官の後姿を、明るい茶色の瞳が見つめている。小さく息を吐いて、ゲントはポケットに手をやった。
「いつか皆に言わなきゃならないのかなぁ…俺はまだ、今のままでいたいと思うんだけど。ブレーザーはどう思うかな。」
彼のてのひらで小さな石が音もなくきらめいていた。