居酒屋ロマンチック情報課(給湯室)に出入りする丸の内OL閣下。給湯室入った瞬間周囲は沈黙するし出てった瞬間ヒソヒソ話が再開する(心が痛い)
残業帰りにすれ違う清掃員フェルナ〜はガチの工作員。企業スパイではない。国家の存亡をかけたグレートゲームが水面下で展開してるけど閣下には今日のランチの方が大事。何しろ2045年の日本には劣悪遺伝子排除法は無いし勤めてる会社は義眼の自分を新卒で採ってくれたので覇者の登場を待つことも無いのである
「閣下は欲が無い方ですね。いや丸の内勤めだから出世欲はあるんでしょうけど」
フェルナーとは1ヶ月に一度ほど居酒屋で呑む仲になった。初回、フェルナーは個室に入るなり洗いざらい持てる記憶を吐き出し、あなたはどうなのですと詰め寄ってきた。私は記憶があることを伝え、その場は再会を喜ぶ席となった。フェルナーは能力を生かし転生者を探し回っていたらしい。国家権力を味方に付けてできる事はさぞ多かった事だろう。私を探していたらしい。それほど意外な生き方をしていただろうか。曰く、少なくともおれには探し当てるのは難しかったですね。初めはシンクタンクを中心に探していまいした。あの世界にはたくさんの方がいますよ。転向いかがですか?
フェルナーは問うが、肝心の質問をされないまま3ヶ月が過ぎようとしている。私は女になった。何も思わないのか?お前が現れて思いがけず私の人生は華やいだ。いや、今となっては他の可能性などどうでもいいのだ。フェルナー、私は指輪が欲しい。必要ではないが欲しいのだ。質量を持った宝石が象徴する、その瞬間、その言葉を私は切望している。