恋を綴る(シロ主3)「俺が優しい?」
「うん、東京に来てからも色々と勉強でも面倒見てもらっちゃったし」
そんなことを君の口から聞く日が来るなんて思わなくて、ただ、ただ、びっくりしてまったのだけれど、もし、それが本当だとするならば、理由はきっと。
「…そうだな、俺は誰にでも優しいわけじゃないよ、君にそう思って貰えることは嬉しいけど、俺がもし、君の思う通り、優しいんだとしたら、それは君のことが好きだからさ」
「……っ?!!」
俺の言葉がどうやら、彼の予想を超えていたようで、急に顔を真っ赤にした彼をそっと抱き締める。
「…ずるいよ、シロウ。そういう部分でも参謀なんだもんなあ…」
「君が俺をもっと好きになってくれるなら、狡くて結構さ」
俺が君のことを好きなように、君も俺を好きになってくれる、そんな理想を叶えるためならば、きっと、今なら何だってできるなんて、昔の自分が見たら、きっと変わって見えるだろう、胸躍らせる本の世界に居た俺が四六時中、ずっと誰かを想って恋をしていると知ったら、ああ。
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