恋を綴る(シロ主3)「俺が優しい?」
「うん、東京に来てからも色々と勉強でも面倒見てもらっちゃったし」
そんなことを君の口から聞く日が来るなんて思わなくて、ただ、ただ、びっくりしてまったのだけれど、もし、それが本当だとするならば、理由はきっと。
「…そうだな、俺は誰にでも優しいわけじゃないよ、君にそう思って貰えることは嬉しいけど、俺がもし、君の思う通り、優しいんだとしたら、それは君のことが好きだからさ」
「……っ?!!」
俺の言葉がどうやら、彼の予想を超えていたようで、急に顔を真っ赤にした彼をそっと抱き締める。
「…ずるいよ、シロウ。そういう部分でも参謀なんだもんなあ…」
「君が俺をもっと好きになってくれるなら、狡くて結構さ」
俺が君のことを好きなように、君も俺を好きになってくれる、そんな理想を叶えるためならば、きっと、今なら何だってできるなんて、昔の自分が見たら、きっと変わって見えるだろう、胸躍らせる本の世界に居た俺が四六時中、ずっと誰かを想って恋をしていると知ったら、ああ。
「……っ、そういうところも、好きになっちゃうしか、ないだろ、シロウ」
「俺も、そんな君のことが好きだよ」
君の突拍子もない行動を目で追っていたからなのか、君にずっと恋をしているからなのかは分からないけれど、前よりもずっと、君を知ったから、きっと、俺にできる精一杯の言葉を君に返したいとそう思ったからなのかもしれない。
「…っ、そういうところだぞ、シロウ」
もっと、君が俺に夢中になってくれたらなんて。
夢見がちで、欲深くても、それでも君は笑って、俺を受け入れてくれる。
だから、俺も君に恋をし続けていくのだろう、そんな日々はきっと、どんな、本の世界よりも心が躍り、続きのページをめくることが楽しみでドキドキして、そんな日常を、幸せをこれからも、ずっと。