ハンドクリームハンドクリーム
ぷつ、と血液が指の股を通った。
小さい傷ほど、なかなか痛い。
「深くきれたね」
首元に、やわらかい息がかかった。
常闇は、声の主のもとへ、ゆっくりと振り向く。
「初めてだ」
痛そう。
ホークスは、そう呟いた。
そのなかに、いくらかのつまらなさを含んでいるのを、常闇は察する。突然の至近距離からの声に素直に反応しなくなったことを、歓迎してはいないようだ。
ああ何度も経験すれば誰だって、いやでも慣れると思うのだが。
「こういうのは…絆創膏か」
「はい、これ」
差し出されたそれを、常闇は礼とともに受け取った。急に声をかけられるのと同じように、出来すぎの三分クッキングも、いちいち驚いていては身が持たない。
「最近急に寒くなったからね」
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