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    masimasi_ikura

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    masimasi_ikura

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    🎊影と火花開催おめでとうございます🎊

    虎杖くんがペット飼いたいなと悩んで伏黒くんに相談するお話です
    ※未来if成人設定
    ※捏造後輩の気配が強い
    ※事変などない
    ※心の広い方向け

    俺がペット どうやら俺は生き急いでるらしい。
     この前一緒に任務に行った後輩――俺の任務ではなく、俺からの推薦が欲しいから任務に同行して自分を見極めて欲しいと頼んできた可愛いやつである――が心配してきたのだ。「えーそう?」と笑いながら受け流せば、その場にいた補助監督にも割と真面目に頷かれる。

     確かにその日、核を正確に破壊して祓呪に成功した後輩を見守っていた。が、にこやかに駆け寄ってきた彼の背に突如影が覆い被さる。どうやら先程の呪霊はもう一つ核を隠し持っていたようでしぶとく一命を留めたようだ。仕留め損ねたそれはゆらりと再び立ち上がり、最後の悪足掻きの一撃を浴びせようと禍々しい爪を振り上げる。それを目にしてしまえば頭で考えるよりも体が反応していた。即座に地を踏みしめ駆け抜け、突然のアクシデントに狼狽える後輩を押しのけ回避させる。左の眼球に迫る大きな鋭い爪を寸でのところで躱せば、一筋、頬にちりと走る熱さ。気にも留めず眼前の標的を注視し続ければ、俺が避けたことで大きく空振った腕により体勢を崩した胴に核を一つ見つける。急所を晒したがら空きの腹を目掛けて黒閃を狙い撃ち、隠し持っていた核をぶち抜いて今度こそ祓呪を完遂させた。
     任務を請け負った本人に任せた方がいいのはわかっているが、達成感で油断している満身創痍に近い後輩に戦闘態勢に戻させるのは難しい。怪我だけで済むなら良いがそれ以上の被害になることもザラだ。なら付き添いで来て何もしてなくてピンピンした俺がやった方が安全で早い。推薦はまだまだおあずけだなと苦笑を浮かべて思案しながら「大丈夫かー」と呼びかけつつ振り返る。慌てふためいたように走り寄ってきた。心配する後輩をいなしながら補助監督の待つ駐車場に足を進めれば小さくともよく響く声が落ちてきた。

    「生き急いでるみたいで、いなくなりそうで怖いんすよ」

     別に生き急いでるつもりはないんだけどなぁ、なんて。言っても信じて貰えないだろうから聞かないフリをして「反省会しながら焼肉食べんぞー」と大きく声をかけた。後輩の優しさを受けとめきれない自覚があるから今度は振り返れなかった。
     俺は俺の役目を果たすまでは死ねないと、そんな相手に言い切るのはなんだか酷な話だろうから。


    ◇◇◇◇◇◇◇


    「話すと長いからさサクッと聞くんだけど、俺って生き急いでるらしいんだよね」
    「俺と釘崎の忠告が十年かけてようやく耳に届いたみたいだな」
    「いや別件」
    「チッ」

     肉の焼ける香りと炭と煙草で燻臭い空間で酒に呑まれた人間達に絡まれながら飲んだ数日前。あの日のことをつらつら思い出しながベッドでだらだらしたまま伏黒に話しかける。ヨギボーに埋もれたまま我が家でくつろぐ友人は文庫本を読む体勢そのままに冷たい一瞥を寄越した。それでもつっけんどんに返事を返すのは手持ち無沙汰な家主への配慮なのだろうか。もうちょい優しくしてくれてもバチは当たらんだろ。
     それにしても、そろそろ十年ほどの長い付き合いになるこの友人は「ここは俺の部屋だが?」と言わんばかりに我が物顔でリラックスして自由に過ごしている。別荘か何かと認定してるに違いない。

    「ということでなんかペット飼った方が良いんらしいんだわ。へいメグ、寿命が俺より長くなくてそこそこ長生きして病院でよく診て貰えて万が一のときは引き取り手が見つかりやすい生き物ってなんかある?」
    「Siriじゃねえよ」

     嫌そうにツッコミながらもすぐに考えてくれるとこ、誠実だよなとしみじみ思い入る。栞を文庫本に挿んで閉じ、眉間に小さな皺を寄せながらスマホを取り出し本格的に考えてくれるようだ。自分で言っといてなんだがあんまりにもふわふわした要求なのでつらつらとBGMがわりに俺の思考を吐き出しとけば聡明なる親友・伏黒恵君は何か良い案を提供してくれるだろう。多分。

    「最初はハムスターとかいいかなって思ったんだよね。でも二、三年でお別れって寂しすぎね? じゃあ長生きの亀! って逆の発想に至ったけどめっちゃ長生きなんだよ。俺が赤んぼうだったとして一緒に成長しても長寿番付載っても置いてくレベル。あっ種類によるってさ。そんなん言ったら大体のペットもそうだけど。あと魚たくさん飼ってアクアリウムも良さげだよなって調べたら多分俺は維持できない自信が出てきた。そんじゃあ原点回帰してベタに犬とか猫とかも考えたけど十年二十年一緒にいるってなかなかいいなってさ、でも俺よく家開けるからペットホテルとかめっちゃ使わなきゃとか考えたらうちに来てくれるのその子にとって良くないんじゃねえかなって悩み初めて。まあここまでいくと生き物全般に言えんだけどさ」

     スマホから目を離さない伏黒はそれでも俺の話を聞いていたようで目を眇めたり眉間の皺を揉んだりと色々頭を働かせているようだった。俺の悩みのために時間を割いて悩んでくれる人がいるのは幸せだ。だから時々こうやってとりとめのない話をして困らせて百面相を眺めてしまう。にやける口元を引き締めながら見つめていれば睨まれる。
     目と目があったその瞬間、伏黒の目が大きく見開かれ何か閃きが訪れたようだった。ゆっくり目を伏せ数秒考え込み、再び目を開けば真剣な面持ち――いっそ据わった目と言ってもいいほどの眼差し――で問い掛けてきた。

    「お前がきちんと責任持つ覚悟があるなら良いのがある」
    「あるある超ある紹介して」
    「軽いな。本気か?」
    「マジマジ。なんつうかさ、色々言われたのもあるけどやっぱ一人暮らしはちょい寂しいんだよね」
    「これからは寂しくないからいいだろ」
    「だよな! あー楽しみ」
    「じゃあ俺は準備をしに帰る。また連絡するわ」
    「えーゆっくりしてけよ、伏黒と遊べんの貴重じゃん」
    「そうでもねえよ」

     ふっと笑いながら話を切り上げた伏黒はさっきまでのリラックスモードが嘘のように帰り支度を始めた。行動力のあるヤツだからすぐに動いてくれるようでこれこらの日々が楽しみになる。ここまで積極的に動くのだからもしかしたら伏黒も気になっていた動物なのかもしれない。そんでもって俺が飼ったら入り浸るとかそういう計画なのかもしれない。それはそれでこれから楽しく暮らせそうだなと未来に思いを馳せる。そしたらきっと俺が死んだ後も一人と一匹で寂しくないだろうし。なんて考えてるのがバレたら伏黒にも𠮟られるので思考の外へ追いやりながら俺も立ち上がり最寄り駅まで見送りに行くことにした。そういや今日はポイント五倍だったけ? ついでにスーパーで買い物するかな。伏黒の背に続いて玄関を出て鍵を閉めた。

     そうしてとりとめのない話をしていてば駅に辿り着いたとき、伏黒はジッと俺の目を見つめて問い掛けてくる。

    「虎杖、二言はないな?」
    「ない」
    「なら良い」

     満足そうに頷いて改札に入り、人混みに消えていく。伏黒はときどき思考がぶっ飛んでてそういうときほどヤバいこと知っているがもう既に止められないとこまで行ったなと悟った。伊達に十年付き合っていないのだ。俺はなんだか選択を間違えた気もしないでもないが何が起こるか予想も出来ないのでとりあえず今日の特売品を調べるためにチラシアプリを起動させた。

     デカいスーツケースを傍らに「なんでもいいなら責任取って俺を飼え」とヤクザの取り立てのように玄関を叩く押しかけ女房ならぬ押しかけペットが現れるのは一週間後のことだった。

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    masimasi_ikura

    DONE影と火花開催ありがとうございます!
    釘崎野薔薇の結婚「わたし、結婚するから式出ろよ」

     高専で出会ってからの年数が両の手の指を超える直前、定期的に開く同期会で釘﨑が突然開口一番に告げた。中ジョッキを持って乾杯しようとした姿勢のまま口をあんぐり開けたまま、俺達は混乱したまま祝福を述べたのだった。
     あれから数ヶ月、立派なホテルの海の見える教会的な庭で釘﨑は真っ白でフワフワで長いドレスを身にまとって新郎の腕をとって進んでいる。人婚式? とか言うやつらしく神父さんはいない。会場に来ている大事な人達に誓うというのは、神も仏もないような仕事をしてる呪術師らしい考えなのかもしれない。
     あの釘﨑が選んだのはおっとりとして平々凡々を描いたような男だった。何度か顔を合わせたが異性の友達である俺達に負の感情持っていたとしても向けず、「彼女と同じですごい人達なのだと尊敬してます」と穏やかに告げてくるそういうところが釘﨑にとってグッと来たのだろうとなんとなく理解した。だからと言ってただ気弱で優しいでけでもなく、釘﨑の発言に雑に返したりノったりツッコんだり諭したり。打てば響くやりとりを繰り広げる二人はとにかく馬が合うというか、居心地が良いのだろうともなんとなく思った。
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    masimasi_ikura

    DONE🎊影と火花開催おめでとうございます🎊

    虎杖くんがペット飼いたいなと悩んで伏黒くんに相談するお話です
    ※未来if成人設定
    ※捏造後輩の気配が強い
    ※事変などない
    ※心の広い方向け
    俺がペット どうやら俺は生き急いでるらしい。
     この前一緒に任務に行った後輩――俺の任務ではなく、俺からの推薦が欲しいから任務に同行して自分を見極めて欲しいと頼んできた可愛いやつである――が心配してきたのだ。「えーそう?」と笑いながら受け流せば、その場にいた補助監督にも割と真面目に頷かれる。

     確かにその日、核を正確に破壊して祓呪に成功した後輩を見守っていた。が、にこやかに駆け寄ってきた彼の背に突如影が覆い被さる。どうやら先程の呪霊はもう一つ核を隠し持っていたようでしぶとく一命を留めたようだ。仕留め損ねたそれはゆらりと再び立ち上がり、最後の悪足掻きの一撃を浴びせようと禍々しい爪を振り上げる。それを目にしてしまえば頭で考えるよりも体が反応していた。即座に地を踏みしめ駆け抜け、突然のアクシデントに狼狽える後輩を押しのけ回避させる。左の眼球に迫る大きな鋭い爪を寸でのところで躱せば、一筋、頬にちりと走る熱さ。気にも留めず眼前の標的を注視し続ければ、俺が避けたことで大きく空振った腕により体勢を崩した胴に核を一つ見つける。急所を晒したがら空きの腹を目掛けて黒閃を狙い撃ち、隠し持っていた核をぶち抜いて今度こそ祓呪を完遂させた。
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