すきすきモクマさん 幸福だと言われました。今は私は彼にとって守るべき存在であり、それが揺るぐことはないのだと、理解しているつもりです。私なりに、捉え方の間違ってたところを直して、彼の言うことをきちんと聞いて受け止めたつもりです。
でも…これはその範疇でしょうか？
どんなに大切でも相棒に向けるものを越えてます。世間一般の目線を持っていない私には分からない…というかこれは世間一般から見ればむしろ分かるのではないでしょうか、口説いてるのだと…
何か相談事のある時、そっと私を見つめる目を見てください。あんなにアンバーが美しく澱んだ瞳を知りません。彼が私の話を聞く時、私のことばの一つ一つを大切に聞いてくれているのが分かります。じっと見守られながら日々を過ごすのは、監視されているように思うかと思いましたが、全然違っていて、彼のそばにいる方が私はのびのびいられる。
そしてもっと困ったことに、私はモクマさんに口説かれていると分かっても、全然いやではないし、とっても嬉しいんです…

もしも彼が本当に私のことを口説いているなら、私の事好きだってことですよね。
彼は私に何かを期待してるんでしょうか。私は彼に応えるべきでしょうか。応えたいと思っています。彼が望むものなら私の全力を尽くして用意したいんです。
彼は、どんな私を好きになったんでしょうか…。前は泣き顔を作るとその顔は弱いからと言っていたのに、最近はとんと言わなくなってしまいました。だから彼の前でどんな顔をしたら彼が喜ぶのか分からなくて…。
私は彼と会った時からすっかり変わってしまったように思う。彼と同道の約束をした時からもまた変わっています。
そのことは彼にとっても良いことなんでしょうか。
彼が私の事好きになってくれたなら、なるべくずっと好きなままでいてくれるように、その私でありたい。でも私はあなたといると変わってしまう。そのことを、彼は許容してくれるんでしょうか。
モクマさん教えて、私のどんなところが好きでどんな風にいてほしいか。私はあなただったらなんでも構わない。今ならまだ…あなたから同じ気持ちが帰ってこなくても、受け入れる。きっと長い時間がかかるし私は永遠にあなたを追い回すかもしれないけど、あなたの気持ちを変えられないことも、追いつけないことも、分かってはいます。あなたは強く、自由で、美しい獣。私の炎には決して捕まらないひと。

彼は私をとても甘やかします。私が増長したらどうするんでしょうか。でもどこまで伸びても彼の手の上であると最近わかり始めました。それは隠れんぼが得意だけど見つけて欲しい私にとっては幸せなことでした。
私を甘やかして、何か楽しいのでしょうか。彼は強いからきっと力を持て余していて、私なんかを背中に載せても全然きっと足りなくて、それでせめて私は全力でわがままを言っていた方が良いのでしょうか。彼の手を焼いた方が彼が嬉しそうな顔をするのはなぜ？彼の全てを求めたら、もっと嬉しそうな顔をしてくれる？
嬉しそうな顔も困った顔も怒った顔もみんな好きです。寂しそうな顔はあまりさせたくないです。でも、彼が自分の心の中の寂しさを大切にする時はあるから、それはそれで良いのです。私が原因でなければ。
どうして同道の約束までしたのに、ずっと一緒にいたいと思う気持ちを止められないんでしょうか。もうずっと一緒にいるのに。どう考えても、彼が私を甘やかすせいです。彼にとって増長した私はなんてことないかもしれないけど、私にとっては私自身が重たすぎる。あなたに持っていてほしい。

彼は私と一緒にいておかしくならないんでしょうか。私はおかしくなりそうです。私は私の大好きな人と起きて、ごはんを食べて、仕事をして、買い物をして、寝ています。一緒にお酒を飲んで、彼が見ている映画を横からのぞいて、私が耳を傾ける音楽を彼も聴いて、たまに何も語らずにお互いの目の届くところにいます。それがめったにない幸せだということは、私にも分かる。
隣にその人がいるのにその人のことを考えることがあるなんて思わなかった。こんなに聞きたいことがあっても聞けなくてしかも予想もできないことがあるなんて思わなかった。人を謀るのは得意なのに。




モクマさんに、告白された。素朴だけど、強い言葉で、間違いのないように。
返事はゆっくり考えていいと言われたけど、すぐに返事をしたかったので、その場で少しだけ待ってもらった。少し…というのは、結局、はいと言うだけで半刻ほど待ってもらってしまったが。
彼が私が一度離れてしまったことをとても気にしているのが分かった。
私も彼にもう間違いのないように伝えたかったから。
そしてこういうことは早いのか遅いのか分かりませんが、多分お互いに指切りみたいに…何か証拠みたいなものを求めて、どちらからともなくキスをしました。
好きな人とキスってしたことありますか？私ははじ めてでした。そして、はじめてがこの人でよかった。
嬉しいのになぜだかたくさん泣いてしまって、私は彼の前だとどんどんだめになる。そういうことを言ったら、そんなことないよと優しく言ってくれた。どんな私でも好きだと言う。
何かしたいことがあるかと聞かれた。相棒じゃなくって…相棒であることには変わりないけど、恋人として…何かしたいことはあるかって。こいびと。私は口の中でその甘い単語を転がした。
私はいくつか思いついたものをあげてみたけど…私も彼もほとんど同時に笑ってしまった。だって、それはもう二人がしたことのあることばかりだったから。でもしようと言ってくれた。きっと一緒に食べるごはんも違う味がするよと。想像するだけで楽しかった。
同じことを彼に聞き返した。彼はちょっと頬をかいてから、今度セックスしてみたいなと言った。
私は笑ってしまった。ああ、私は…彼が私のことを好きかもしれないと気を揉んだりしたのに、その予測を全く立てていなかったから！