タル鍾のうさぎバース風呂場からあがり、冷んやりとするフローリングを踏みしめながらベッドの上に身を置く。滴る水滴をタオルに染み込ませながらゆっくりと体を拭いていった。
「ふぅ」
ほんの少し茹る体はこれからの快感を待ち焦がれているようだ。毛が密集する場所である頭髪と腰にある丸い尻尾を細やかに、丁寧に、香りの良いオイルで染み込ませて行くのが鍾離の日課であり楽しみであった。
(愛も変わらず伽羅の香りは落ち着く。)
細い手に琥珀色の粘性のあるオイルがとろりと落ちる。それを手に広げて自身の頭にある大きな耳をにゆっくりと馴染ませていった。
根本には少しだけ。中間から毛先になるにつれて多めに漬け込んでいく。満遍なくしっとりした毛心地はずっと手入れをしているおかげで埋めたくなるような柔らかさだ。大きなうさぎの耳を顔の前に持っていけばふわっと広がる重厚な香りに酔いしれそうで。風呂から上がったとはまた違った意味で頬を染めていく。この時間がなんとも気持ちよくて。このまま眠ってしまいたくなるくらいに幸せで。
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