Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    K子06

    ネタを供養する所
    いまはノイ受けが多い

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 24

    K子06

    ☆quiet follow

    ハイチャです。ハインライン×チャンドラです。
    友人になった2人がうっかりワンナイトする話。
    ワンナイトの部分はないです。
    ふわっと読んで下さい。

    アルバート・ハインラインとの出会いはアークエンジェルの後継艦の設計が始まった3年以上前まで遡る。

    元々アークエンジェルの後継艦を造るというプロジェクトは進められようとしていたが、アークエンジェルが轟沈の憂き目を見た事により急ピッチで進む事となった。
    なぜハインラインがアークエンジェルの後継艦の設計に携わったかと言えばひとえに彼の我儘である。ミレニアムを完璧に乗りこなしたマリュー・ラミアスとアーノルド・ノイマンならさらに上のスペックを持った艦でも乗りこなすのではないかという単純な興味から彼は新造艦の設計に関わりたいと言って来たのだ。後継艦を造るモルゲンレーテ側は難色を示したらしいが、ハインラインが耐熱耐衝撃結晶装甲の技術を提供すると言って来たため、その話を呑んだという事だ。

    ラミアスからどんな艦にしたいか話を聞き、ノイマンの操舵データを気が済むまでとったあと、次は兵装だと、射撃指揮官をしているチャンドラに話を聞きに来たのだ。
    その議論は白熱した。ハインラインが新造艦に載せたい火器は、実際艦が動く中扱うとなると狙いを定めづらいものが多く、また高火力のものも多かった。
    コンパスは平和監視機構であるから、威嚇射撃なんて事もする。その時に狙いがずれ、うっかり当たりどころが悪くて敵戦艦が沈んだとかそういう事の方が困るのだ。そして、敵を壊滅させる様な攻撃も基本的に打つ事はない。誰にでも扱い易くそしてコントロールし易い事、それが大事だとチャンドラは考えるし、どちらかと言えば防衛装備に力を入れて欲しい。

    「お前なら出来るだろう!シミュレーターの結果は知っているんだぞ!」
    「俺だけに出来ても駄目なんです!そんな事りもうちょっと防衛装備を増やして欲しいんですけど!」
    「ラミアス艦長とノイマン大尉が乗るのにか!?それに耐熱耐衝撃結晶装甲を搭載するのだから防衛は完璧だろう?」
    「それは本当に虎の子って奴でしょう?もっと汎用性のある防衛装備が欲しいです!そりゃあ高火力の兵装も必要ですが、少し過度になってませんかね!?」

    そんな言い争いを何度も繰り返す。ようやく双方納得する形で案がまとまり、ラミアスの許可をもらい、そしてさらに上の了承を得た時には思わず握手し、ハグまでしてしまったのは今ではいい思い出である。

    新造艦の設計が概ね終了し、後は建造するだけとなった時、アークエンジェルのクルーは手持ち無沙汰になった。設計段階ではクルーの意見が必要だが、流石に建造に関わる事は出来ないからだ。そこでせっかくの機会だからとミレニアムでそのクルー達と合同で勤務にあたる事になったのだ。
    これもファウンデーションの件がきっかけの出来事で、ラミアスとノイマンはぶっつけ本番でやったが、乗った事のない他国が建造した艦でいきなり職務に就くなんて普通は出来ないのだ。
    コンパスの実働艦は今の所ミレニアムと約一年後に出来上がる予定のアークエンジェルの後継艦を含め2つしかない。2つぐらいならば乗組員が入れ替わってもある程度まで動かせる様にしておいた方が良いだろう、という上の判断である。
    そういうわけで、アークエンジェルのクルーは各々の持ち場でミレニアムのクルーに教えを乞う事になった。ただ、ノイマンは彼より年若いミレニアムの操舵手達に操舵の技術を教えたり、彼らに請われてアクロバット飛行の仕方を教えたりしていた。

    そして、チャンドラと主に持ち場が被るのはハインラインである。彼とはアークエンジェルの後継艦の兵装を議論した時に散々言い合い、時には互いに罵詈雑言を浴びせ合い、最後にはハグまでした仲だ。
    階級も年齢も少し上であったが、その頃に遠慮なんてなくなり、一応敬語では話すが雑談までする様になっていた。チャンドラがくだらない冗談を言えばハインラインはそれに乗ってくるし、ハインラインがチャンドラを揶揄って遊ぶ時もある。ミレニアムの副長であるアーサー・トラインにはその様子に「えぇっ!」と大きな声で驚かれたし、艦長であるアレクセイ・コノエには、これからも仲良くして欲しい、と何から目線なんだというお言葉を頂いた。

    チャンドラはミレニアムに乗艦してからも付き合いの長いノイマンと行動する事が多かった。
    休憩時間も然り、重なっていれば自然と合流し、食堂なり休憩室へ移動する。そこにハインラインもやって来る様になった。ハインラインとノイマンは操舵データを取る際に少々やり合った様で、始めはギクシャクしていたが、チャンドラが取りなせば双方歩み寄り一応その件については解決を見た。そうすれば自然と3人でつるむ様になり、そこに人懐っこいトラインも加わる事も増え、ミレニアムでの勤務が終わる頃には2人とも友人と呼んでも差し支えないほど親しくなっていた。

    その後、後継艦が完成しハインラインとは乗艦する艦は分かれたが、所属する組織が同じなのだ、頻繁とは言えなくても会う事は多かった。会えば世間話もするし、極たまに休暇が合えば一緒に出かけたりもした。この歳になって新しい友人が増えるなんて事もあるんだなとチャンドラは少し嬉しかっのだ。

    何ヶ月かぶりにミレニアムがオーブに寄港したタイミングにチャンドラの長期休暇が重なり、2人で飲もうかという話になった。ノイマンは乗艦中であったし、トラインもチャンドラと同じくプラント長期休暇を取っていたため2人でである。4人まとまって休みが重なるなんて事は本当になかったし、その時会える者だけで食事に行ったり酒を飲んだりするのは別に特別な事でもなんでもなかったはずだ。
    ハインラインは乗艦中の休養日で、昨日の夕方から今日の夕方までがその期間にあたる。そんな短い期間だから取り敢えず会って話せればそれで、となり、ミレニアムが寄港している港にも近いチャンドラの家で飲めば良いかとなったのだ。
    港までチャンドラがハインラインを迎えに行き、帰り道にある店で適当に酒やらつまみやらを買いチャンドラの家に向かった。
    家のつけば、つまみを適当にテーブルに並べて、乾杯し、互いの近況やこの場にいないノイマンやトラインの近況を楽しく話した。ここまでは何時も通りだったはずだ。

    なのになんで、こんなことに。

       ***

    今いる場所は自室のベッドの上で、隣に金髪の顔の整った男、ハインラインが寝ていた。
    昨晩は一緒に飲んでいたし、寝ているだけならまぁ良い。だが、薄がけが掛かっているため下はわからないが上を着ていないのは白い肩が露出しているので間違いない。チャンドラも上は着ていなかったし、下はパンツしか履いていなかった。自分の体を確認してみると、キスマークやら噛み跡やらで酷いことになっていた。

    その状況を確認しながらチャンドラは段々と昨夜の事を思い出し、1人で赤面してしまった。

    (…やってしまった)

    所謂ワンナイトと言うやつか。
    飲み屋などで知り合った女性ならともかくなぜ友人であるハインラインとワンナイトしてしまったのか。しかも自分が抱かれる側で。

    (なんか俺から迫った様な気がする…!?)

    思い出されていく記憶にチャンドラは絶望した。
    正直、全てを無かった事にしたい。
    ハインラインが記憶を飛ばしている可能性賭けて服を着て普通に起こせば、全てを無かった事に出来るのでは?
    そんな無謀な期待を裏切る様に横に寝ていたハインラインがもぞもぞと動き出した。
    チャンドラはハインラインの事を見たまま思わず固まってしまう。そして目を覚ましたハインラインとバッチリ目があってしまった。
    数秒見つめ合ってしまっただろうか、チャンドラは我に帰り、ハインラインから距離を取ろうとした。

    「逃げるな、昨日はあんなに…」
    「うわぁーーー!」

    チャンドラは叫び声を上げ、耳を塞いだ。

    (あんなにってなんだ…!?)

    当然の如くハインラインは昨夜の事を覚えていた。
    彼は上体を起こすと、チャンドラの両手をそれぞれ掴み耳から外した。

    「落ち着け」
    「落ち着けるわけないでしょ!」

    チャンドラは睨みつける様にハインラインを見る。起き上がった事で見えた彼の上半身はチャンドラと違って綺麗なものだったが、チャンドラからは見えていなかった方の肩口にひとつ噛み跡があった。

    (うわぁーーー!あれ、俺が!?)

    何も言わずにハインラインから目を背ければチャンドラの様子を見て何か察したのだろうか、ハインラインが意地の悪い笑みを浮かべながら聞いてきた。

    「あんなに熱烈に誘ってきたと言うのに。なんだ、今日は大人しいな?」
    「俺が、熱烈に、あんたを誘った?」

    思わず一言一言ゆっくりと確認する様にハインラインに確認してしまった。

    「映像データ、見るか?」
    「おい、一体いつの間にカメラを仕掛けた!」
    「いや、嘘だ。映像データは無い」
    「〜〜〜、今はやめて!」

    やめてとは言ったが、何時も通りのハインラインの態度のチャンドラは少し安心した。

    「一応確認だけど、俺たち一線超えちゃった感じだよな…?」
    「一線というのが何処なのかは人によるだろうが、一般的な感性での事であれば超えたな」
    「だよなぁ」

    やっぱり当初思った通り無かった事にするしかない。友人の男と寝たなんて事は無かった事にした方が良いに決まっている。

    「無かった事にしよう!」
    「しないぞ」
    「なんでだよ…!」
    「僕の初めてを奪っておいて、それで済むと思っているのか?」
    「あんた、童貞は二十歳前に捨てたって言ってたよな?」
    「男はお前が初めてだ。間違っていないだろう?」
    「屁理屈!どっちかと言えば俺が初めて奪われたんですけどぉ!?」

    一生奪われる事はないと思っていた初めてである。

    「そうだな、僕がお前の初めてを奪ってしまったのだから責任をとってやろう」
    「取らなくっていいから、無かった事にして欲しいです…」

    チャンドラしては無かった事にしてくれればいいのだが、どうもハインラインがチャンドラの事を揶揄って遊ぶモードに入っているのかなかなか話が進まない。
    ならば、取り敢えずシャワーでも浴びて少し時間を空けようと考えた。
    ベットから降りようともぞもぞと端へ移動する。そして床に両足をつけ立ち上がったはいいがそのままなす術もなく前のめりに床に座り込んでしまった。顔に熱が集まる。ギッとハインラインを睨みつける。

    「なにをやっているんだ?」

    そう言ってハインラインはチャンドラに近づき(パンツは履いていた)抱き上げるとベッドの上に戻した。軽々と戻されたチャンドラは不満を顔一面に出したが、そんな事には気づかず、ハインラインは自分の荷物の中から端末を取り出し出し、チャンドラのもとへ持ってきた。

    「さあ、ここにサインしろ」
    「何これ?」

    画面を見ればサインをする欄が2箇所あり片方にはすでにハインラインのサインが入っていた。
    なんの書類だと上にスクロールさせれば、それは婚姻届であった。

    「責任をとってやる、僕と結婚しろ」
    「はぁ!?一度寝ただけのアラサー男に対してそれは重すぎるのでは?」
    「お前の初めてはそんなに軽いのか?」
    「自分で言っといて何だけど、“初めて”とかアラサー男に言わないで!恥ずかしいから!……まぁ、結婚考えるまでは重くないんじゃない?2人とも酔ってはいたけど同意だったわけだし?」
    「…そうか」
    「そうだよ、だから無かった事にしろとまでは言わないから、これまで通り友達でいようぜ?」

    チャンドラがそう言うとハインラインは何故か黙ってしまった。数分たっただろうか、ハインラインは話し始めた。

    「チャンドラ、話を聞いて欲しい」
    「なに?」
    「先程勢いで婚姻届にサインさせようとした事と、責任を取るだなんて言って言葉を尽くさなかった事をまずは謝罪する」
    「え、本当になに?どうした?」

    突然の謝罪にチャンドラは混乱した。

    「僕はお前が寝てしまった後、片付けをしながら色々と考えた」

    そう言えば自分の体が汚れていなかったし、寝具も綺麗だった。以外と甲斐性のある男なのだとチャンドラは思った。
    ハインラインは彼にしてはゆっくりとしたペースで話を進める。

    「…同意とはいえ、僕が無体を働いた側だろう?お前が目覚めた時に、友人を辞めると言われたらとても耐えられないと思った」

    そこまで大切な友人だと思われている事をチャンドラは知らなかった。

    「チャンドラは初めて出来た友人で、言葉が足らないと言われる僕の言う事も大体わかってくれる、本当に掛け替えのない友人だ。それに、ノイマンやアーサーともチャンドラが居なかったら友人にはならなかっただろう。お前が居たからここ数年の僕は人間らしい生活をしていたのだと思う」

    コノエからあんな事を言われた理由を今知った。

    「身体の関係を持ったのは確かに酒の勢いだった、だが、最中のお前は僕の目にはとても愛らしく映った。…そしてそんなお前を誰にも見せたくないと思った。これは恋愛感情なのだと思う。僕の人生にはお前が必要だ。僕と結婚して欲しい」
    「じょう、だんではなく?」
    「冗談ではこんな事は言わない」

    ハインラインの顔は真剣であったし色の白い顔が少し紅潮していた。それをみたチャンドラもじわじわと顔に熱が集まってくるのを感じた。

    (そんな事言われたら好きになってしまう…!)

    他人からこんなにも情熱的に真剣に好意を伝えられるのは初めてだった。

    「返事は?」
    「……少し考えさせて」

    チャンドラは顔を真っ赤にしながら答えた。ハインラインはその様子を見て満足そうに言う。

    「わかった。次に休暇が合うのは28日後だ、その時に返事をくれ」
    「それでいいの?」

    すぐの返事を要求されると思っていたチャンドラは拍子抜けしてしまった。

    「反応を見れば色良い返事が期待出来るのはわかる。あとはお前が覚悟を決めるだけだろう?」

    それくらいは待てる。
    ハインラインはチャンドラが見惚れるほど綺麗に微笑みながら言った。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖😊☺😇😊☺😇😊☺😇💘😊💒💖💞❤😚👏👏👏☺💖💞💒👏👏👏☺💞💞💒☺☺☺☺☺☺☺☺☺☺💒👏👏👏👏👏👏👏👏💗
    Let's send reactions!
    Replies from the creator