星に願うこと【笹塚創】 クリスマスシーズンで浮ついた街へ出て、人間観察と環境音のサンプリングから戻ったら、いつもの事だがとっくに夕食の時間は終わっていた。冷蔵庫を覗いてみると『笹塚さんの分』とメモが貼られた皿があった。そういえば昼も食べてないし、続けて食いっぱぐれるのは困るので助かるな。料理をレンジで温めていると、誰かがうろうろしている影が見えた。テラスから庭へ出たり入ったりしているような音もする。
「笹塚さん! 今日は何時からですか?」
食べ終えた食器を片付け、タブレットを弄りながら部屋へ戻ろうと立ち上がると、上着の袖をきゅっと引っ張られた。声ですぐわかるし、こんなことをするのは1人しか居ない。思った通り肩越しに見えたのは朝日奈だ。俺が席を立つのを待ち構えていたという所だろう。
3976