Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    makkuro1907

    @makkuro1907

    ボツ置き場
    みたまふ

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 10

    makkuro1907

    ☆quiet follow

    みたまふ
    読めるように体裁整えただけ メチャクチャ途中

    「おーい」
     ある雨の日。銀行から帰ってくると、家の玄関の前で見知らぬ男が寝ていた。紫色のパーカー。明るい色の癖っ毛。寝ていても分かる顔立ちの良さ。うん。初めて見る人だ。全く見覚えがない。
     急病人かと思って119番に電話しようかと思ったが、それにしては幸せそうな顔で寝ているし、そもそも、倒れた人間は、眠りの小五郎みたいに器用に座って倒れたりしない。彼がどういう理由でここで寝ているのかは皆目見当がつかないが、雨が降っている訳だし、こんな所で寝られていても困るので、僕は彼を揺さぶったり声をかけたりして起そうとした。
    「おーい、起きてくださーい」
     しかし彼は何かにゃむにゃむと寝言のようなことを言うだけで、全く起きようとしない。僕は溜息をついた。さて、どうしたものか。僕は少し考え込んだ。
     このまま彼をここに放置するわけにはいかない。しかし、僕が彼をどこかに送り届ける事も出来ない。頭の中で、僕が出来そうな事を一つひとつ挙げていったが、一番最後に残ったのは、一番やりたくなかった事だった。僕はひとつ大きな溜息をつくと、彼の身体を持ちあげ、所謂お姫様抱っこをした。そしてそのまま家のドアを開け家に入り、彼女をリビングのソファーに寝かせた。知らない人を家に上げたくは無かったが、他にいい方法を何も思いつかなかったのだから仕方がない。一人暮らしだから誰かに見られることも無いだろうし。起きた彼が何か騒ぎ始めた場合には、僕が社会的に死ぬが。
     ソファーの彼はまだ暫くは起きそうにないので、僕は毛布を持ってきて彼にかけてやった。揺さぶっても、声をかけても、お姫様抱っこをしても起きないなんて、どれ程良い夢を見ているのだろうか。僕には全く見当がつかない。
     寝ている彼にはそれ以上触れずに、着替えたり、夕飯を食べたり、スマホを弄っていたりすると、ソファーの毛布がガサゴソと動いている事に気付いた。ソファーの方に目をやると、どうやら彼が起きたらしかった。彼は気持ち良さそうに伸びをした。そしてキョロキョロとあたりを見渡すと、
    「ここどこ?」と呟いた。
    「ここは僕の家です」
     僕が後ろから声をかけると、彼はびっくりしたようにこちらを向いた。
    「なんでボクが君の家に?」
    「知らないですよ。あなたが僕の家の玄関の前で寝てたんですから」
    「そっかあ。ねえ、名前なんて言うの?」
    「御手洗暉です。あなたは?」
    「ボクは……、あれ、なんだっけ」
    「はぁ?」
     冗談としか思えない。そうとしか思いたくない。しかし、目の前の彼は思い出す様子が全くない。どうやら真実らしい。
    「じゃあ自分の家とか、職場とか……」
    「うーん……」
    「免許証とかは? そこに名前とか住所とか書いてません?」
     僕にそう言われて、彼はパーカーのポケットなどをまさぐったが、それらしきものは全く出てこなかった。唯一、スマホだけは出てきたが、個人が特定出来るような情報は何もなかった。
    「もう一度聞きます、本当に何も覚えてないんですね? 自分につながるようなことは」
    「うん。さっぱりだね。何も思い出せない」
     自分の名前も、年齢も、住所も何もかもが分からないのに、彼はかなり楽観的に見えた。普通は不安がるものだろうが、そんな様子は全くない。それどころか、この状況を楽しんでいるようにも見える。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💖🙏😇😇😇💘💘👏💴💴💴💴💓💓💓💓💓💖💖💖🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works