アヅマは恋を認めない「おまえ、恋と愛の違いを知っているか?」
まだ高校生になったばかりのガキだった俺に、コトハラさんがそんな事を言いだした。急になんだよと半分聞き流してはいたが、酒が入ったコトハラさんは俺にかまわず言葉を続けた。
「恋は浅いもので、愛は深いものだ」
「…はあ?」
「愛ってのは家族にも友達にも恋にも使う事ができるだろ?恋は恋人にしか使えない」
「それって言葉の話じゃねぇの…」
コトハラさんはそうじゃないとでけぇ声をあげて熱弁を続けた。曰く、恋の先に愛があると。だから恋が愛に変わったら、俺にそういう相手ができたらちゃんと幸せにしてやれと。最後は半分泣きながらそう言っていた。
コトハラさんが生きているうちにそういう相手を紹介できなかった。というより、恋ってもんがよくわからないまま遊んで、付き合って…それもめんどくさくなって恋愛自体避けるようになった。それが今じゃどうだ。
2474