【水父】幽霊族は男色が嗜みってどういうことだよ!?「なんで初めてじゃねぇんだよ!?」
水木は激怒していた。親友と初めて寝た夜である。
「ほへ」
裸のまま水木のタバコを拝借して優雅に紫煙を吐き出していたゲゲ郎は、一瞬動きを止めた。
考え込むように、ゆっくりと煙草を吸う。
そしてそのまま場末の娼婦のように水木のしかめ面に煙を吐き出した。
「なんで、と言われてもなぁ」
嗅ぎ慣れたヤニ臭さが、ゲゲ郎の口から出た吐息と混ざって水木の肺を黒く染めた。煙が目に沁みて、じわりと涙目になる。
その余裕ぶった仕草に、水木はイライラした。
ゲゲ郎の顔は先程水木が散々泣かせたせいで少し目元が赤くなっていた。
水木とゲゲ郎は、親友である。
過ごした時間は短いが、あの村で濃密な時間を分かち合った。極限状態で友情が愛情に移行するのは容易く、一緒に過ごすうちに性欲を掻き立てられるのは当然に思われた。
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