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    tada_00_

    @tada_00_
    自分用書きかけ倉庫。何の手直しもしていない、いつか書けたらいいなの健忘録。ぶつ切り。その他。

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    tada_00_

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    一枚に抑えようと色々端折ったのに結局超過してしまったやつ。
    設定はなかなか気に入っている。
    ちょいた。

    2022.10.16

    ミルク色の虹「何だろ、あれ」
    「ああ、あれはな……」
     靄立つ白い世界の中、ぽっかりと浮かぶ空に悠仁は目を奪われた。
     白味の強い優しい空色に浮かぶのは、乳白色の橋だった。淡い色合い同士だから溶けて見づらく、けれども間違いなくそれは空を伝ってどこかの地上と別のどこかの地上とを繋いでいた。
    「渡りの虹だ」
    「渡りの虹?」
     脹相の膝に抱かれ、籐籠の中を整理していた悠仁はきょとんとすぐ上にある顔を見上げる。
     ふわり、と優しくその穏やかな桜色の髪を撫でて脹相は微笑んだ。
    「ああ。神様が気紛れに、けれども必要にかられて運命の人同士を繋ぐらしい」
    「運命のひと……」
     そのひと言を呟いたきり、悠仁は手を止めて黙り込んでしまった。
     その幼い頭を撫でながら、脹相は目を細めてうっすらと黄色みがかったミルク色の虹を眺める。
     脹相と悠仁は二人っきりでもう何年も、何百年もここに居た。人と交わるにはその桁外れに長い寿命と変わらぬ姿が邪魔をする。幼な子の姿をした悠仁でさえ、人の生を三度四度と繰り返しても足りないほどには生きている。
     結果、霧深い山奥にひっそりと移り住むようになったのだ。けれども二人には後悔も不満もない。二人でさえあればそれでよかったのだから。
    「うんめい……」
     しきりに口にするそれは、悠仁にとって脹相そのものであった。
     けれども二人を繋ぐそれは現れないのだろう。これだけ一緒にいても、一度も見たことがなかったから。そう思って悠仁はひっそりと俯く。
     その頭を撫でる脹相ごと、乳白色の霧は立ち込める。あたり一面を覆い隠して。
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    tada_00_

    DONE #お兄ちゃんワンドロ

    お題『吸血鬼』
    心持ち脹虎。
    吸血表現あり。
    生まれ変わり。
    吸血鬼だけど日本。あと、勝手に血の代用品捏造。
    心が広く、なんでも受け入れたるぜ!という頼もしい方のみお進みください。

    ここを使って投稿するの初めてなので何か不作法してたら申し訳ありません。
    芳しき血の香り 町外れと言うよりは、もはや森の入り口というような所に薔薇の花に囲まれた一軒の日本家屋があった。それは大層立派な屋敷で、広い平家に広大な庭まであるいつからそこにあるのかもわからないほど古い家だった。家の周りには生垣の代わりに真っ赤な無数の薔薇が、まるで侵入を拒むように密に植えられている。日本家屋と言ったら桜やら松やら椿やらそういったものの方が似合うのではないかとは思うものの、不思議としっくりとその場に馴染んでいた。
     そこにはその屋敷に見合うように旧華族だから武家だかの由緒正しき末裔が住んでいるとかで有名だったが、住人の姿を見た者は誰一人として居なかった。そんな曰く付き、みたいな立派で古い屋敷など好奇心旺盛な子供や若者には格好のアトラクションで。よくはないことだと分かってはいても不法侵入を果たす者はぽつりぽつりと後を絶たなかった。そうすると決まって行方不明になったり、運のいい者は帰ってきたりもしたものの記憶をなくしたりと不可解なことが起こるので次第に誰も近寄らなくなっていた。確か、帰って来られた者の共通点は家の長子ではない。とかであった気がするがあまり関係もなさそうだと、人々は無事とは言えなくとも怪我もなく戻って来た者の所以に首を傾げていたが。それでもいつしか長男長女は特に近寄ってはならないとその地域では伝え聞かされるようになった。
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