空閑汐♂デイリー【Memories】29 今日は空閑のコーディネートだな。そんな感想と共に、篠原は待ち合わせ場所に現れた汐見を呼ぶようにひらりと片手を上げた。篠原の姿を認めた汐見は、篠原が腰を下ろしている席の向かいへと腰を下ろす。左手首に巻かれた大振りな腕時計へと視線を落としながら「早いな」と呟く汐見に「思ったより早く会社出れたんだよ」と篠原は笑う。
「にしても、本当お前ら揃って見ないな。そんなにすれ違い生活続いてんの?」
正面に座る男とその配偶者である男は、篠原から見れば高校時代からの友人で。ルームメイトでクラスメイトかつ部活も同じと言う関係から、友人という関係を経たかは知らないがすったもんだの末に恋人に――そして、七年程の離別を越えてそこからは穏やかに二人で暮らしている筈だ。
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