隣との距離スクリーンに映し出される映像には正直、1ミリも興味がなかった。でも君がこれを見たいって言ってたから。隣で君はまだ半分しか減っていないポップコーンの容器に手を突っ込んだまま、映像に見入って、動かなくなってしまった。それが面白くて、可愛くて俺は容器に入ったまま動かない手を掴んで出す。カップルシートとかにすれば良かったかな、と恋人繋ぎにすると君の手は少しだけ震えていた。でも気付いてないフリをするみたいに真っ直ぐ映像に目を向けていた。けれど暗い中でも君の耳が赤くなっているのに気付いてしまう。握り返してはこないけど、拒否もしない君に、俺はまたスクリーンに目を向けるだけだった。