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    SINKAIKURAGESAN

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    SINKAIKURAGESAN

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    偽物が本物になる話
    今後加筆が増えるかもしれないけど期待はしないでね☆

    【ごっこ遊びにおしまいを】 柄草藤真と元谷亜希の関係というのは「恋人ごっこ」である。元々亜希のちょっとした嘘に付き合う形でこの関係は続いて、そうして過ごすうちに長年藤真が抱えていた悩みが大分解決しており、藤真はその官舎に色を付けたのか、それとも亜希の見せる笑顔や優しさに惹かれてなのか、ごっこじゃなくて、本当の恋人になりたいと考えるようになっていた。少し前まで「亜希が自分を見ていたらそれでいい」で済んでいた感情はいつの間にか抑えられなくなっていて己の欲深さに頭を抱えたこともしばしば。
    「と、藤真……?」
     柄草藤真の部屋。何のためらいもなくベッドに寝転がる亜希は困惑の色を浮かべていた。目の前には自分を押し倒していながらもその表情には緊張と緊張が隠しきれていない恋人役の藤真。恋人っぽいことしてみるか?と声をかけようとしたがそのまっすぐな瞳に亜希は何も言えなくなっていた。
    「ねぇ、亜希」
    「ど、どうした……?」
    「嫌だったら、俺のこと殴って」
     なにを。と言う前に、その口は塞がれる。
    「オレ、恋人ごっこじゃなくて亜希の本当の恋人になりたい」
    「へ、ぁ」
     数秒フリーズした後にぽんっと音が聞こえていきそうに真っ赤な顔になる亜希。その表情を見た藤真はやらかしたなぁと言わんばかりの顔をして少し俯く。
    「……ごめん、急にこんなことして。嫌だったよね」
    「い、嫌じゃ、なかった……けど」
    「けど……?」
     彼の身体では少しダボつくパーカーを着た亜希はその袖で顔を隠す。耳まで真っ赤になった彼の返答を待っていると零れ出たのは少し震えたか細い声で。
    「も……これ以上は、心臓飛び出そう……」
     目を背けるように横に向けられた顔は耳まで真っ赤になっていて、先ほどまで一人通夜ムードだった藤真は一転変わって安堵と可愛さとその他諸々な感情でぐちゃぐちゃになり、先ほどまで押し倒していた腕を曲げて思わず抱き着く。
    「好きだよ亜希!」
    「待ってって言ってるじゃん!!!」
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