昼時の学食は混み合うので、少しだけ時間をずらして一時半頃訪れると、ピークを超えた学食は、自分と同じような事を考えている学生がちらほらいるだけで、空席が目立つ。
朝から決めていたアジフライ定食を頼んだら、他に唐揚げが二つついてきて、あれと思った。いつも小鉢はついてくるけれど、唐揚げはついていないはずだ。
「えっと……」
「おにーさんカッコイイから、おまけ」
カウンター越しに「内緒ね」と続けて言ったのは、自分と同じ年齢くらいの男だった。
この学食の厨房には、自分の母親よりも年上と思われる女性達ばかりが勤めているから、若い男がいるのは新鮮で、思わずじっと見てしまう。
最近入った人だろうか。ここ二週間程は学食には顔を出さずに、家から弁当持参だったり、コンビニだったので、いつ来た人なのかは分からない。
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