暖かな穏やかな夢の中で2(仮題)――アキだったモノと結局一日過ごした
不思議とこのアキは殺意がなく顔にある銃も右手の銃も撃たない。試しに拘束具を外して自由にさせるが攻撃の意思が何もなかった。デンジ、と名前を呼ぶだけでそのまま座り続けるアキにナユタは訝しげだ。
「デンジ、どうすんのこれ?」
「せんせーは預かれって言ったんだ、預かるしかねぇよ……」
一応はアキだからアキと呼ぶことにして、だ。アキを家に置くには今後のことは同居人のナユタにも許可を貰わなければならない。仮にも支配の悪魔と言われるだけあってナユタの方が軍配はあるのだ。家を領域と定義づけて支配する悪魔に内側に入るのは至難の業であることは確かだった。
「でもデンジってアキのモノだったんでしょ?それじゃ私のモンにならないじゃん!」
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