数ヶ月に渡って、ストーカー行為を受けている。朝から晩までずっと、一人の人間に。
「おはよう、跡部くん♪」
「跡部くん今日何食べるの? わー美味しそう! 隣いい? 座るね〜」
「こんばんは。今日も遅くまで頑張ってるねぇ、付き合おうか?」
入江奏多。いつぞやのコート入れ替え戦で当たった、ムカつく相手。
アイツには何を言っても無駄だった。どれだけ冷たくあしらおうが迷惑そうにしようがアイツは構いやしなかった。
俺がアイツを追い払うのを諦めるまでに時間はかからなかった。入江からのアクションを半分無視するような形に落ち着き、その状況に慣れてしまうのにも時間はかからなかった。
慣れてしまえば日常の一つでしかなく、煩わしいものでもなくなっていた。
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