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    とづか

    夢絵とかテンプレとかを投げて纏める場所にするよ〜 夢主の外見と名前がモロに出るから本当に注意です
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    とづか

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    (内田視点の書きかけ)

     この告白を断られたら、目の前の大好きな女の子を殺して、僕も死ぬつもりだった。
     彼女を抱えて、綺麗な夕日に向かって、屋上からグラウンドへまっさかさまだ。
     たかが高一の初恋が玉砕したくらいで、そんなに命を軽々しく扱うものじゃないと、偏屈なおじさんなんかは怒鳴るんだろうけど、当事者からしたら、人生で一番の、マジで命懸けの告白だったんだから仕方ない。
     そして、僕の大好きな女の子には好きなヤツがいるのを僕は知っていたから、成功確率はほぼ0%、僕は今日を命日だと思って過ごし、最期だからと、朝から好物のデミオムライスを食べて登校したくらいだった。
     つまり今日僕は死ぬつもりで学校に来て、授業を受けて、放課後を迎えたのだった。

     あの子を目の前にして、一世一代の告白を口にしたときの胸の高鳴りが、彼女によるものなのか、この後の死によるものなのかさえ定かではなかった。とにかく僕は、最後の大仕事とばりにあくせくと心臓を動かし、もう風も冷たくなるような季節だというのにびっしょりと汗をかきながら、その言葉を口にしたのだ。

    「好きです。付き合ってくれませんか」

     人生最後の言葉が、人への愛の言葉なんて、なんて僕に似合わないきれいな人生だろうとぼんやり思っていた。風が彼女の柔らかそうな髪を撫でて、夕陽が優しく彼女を彩っていた。しっかり僕の言葉に耳を傾けて、受け止めて、ただ彼女は僕のことを見つめてくれていた。こんなに景色がきれいなのに、こんなに僕は緊張しているのに、彼女は長閑にただ、僕の目を覗き込んでいた。僕はつい彼女に伸びてしまいそうな手を、ぎゅっと拳にかえて、まだその衝動を抑えていた。彼女がふっと目を伏せたり、首を横に振ったりするまでは、万が一にかけて怖がらせてはいけないから。ただもうほとんど未来は決まっているものと思っていたから、まだかまだかと、僕は彼女の全てを見逃さないように見つめていた。
     すべての一瞬が永遠のようだった。
     彼女が一度瞬いた。
     そしてふにゃふにゃと口元を緩めた。
     彼女は僕から目を逸さなかった。
     背中に回っていた手を、そっと口元に持っていって、ふふふと蕩けたような声をだした。
     彼女が目を閉じた。
     2秒くらいたって、彼女はゆっくり瞼を押し上げると、僕を上目でまた見つめた。
     そして、口元を隠していた片手をそっと下ろした。
     口は弧を描いていた。
     ゆっくり、口を開く。
     鈴を転がしたような声がした。

    「はい。よろしくおねがいします」

     うそ。




     
     雉岡#凛#が僕の彼女になった。その瞬間からの記憶がまるで無い。なんか、たしか、抱きついちゃったり、泣いちゃったりしたんだけど、それでもいつものように優しく笑って受け止めてくれたような、気がする。帰り道に手を繋いでくれたし、というか、そう。一緒に帰ってくれた。家まで送らせてくれた。そのあと、家に誰もいないからどうのこうの、とか言われたときは、さすがにヤバイと思って、適当なことを言って自分を誤魔化した。すごかった。なんかもう、彼女になった雉岡#凛#、やばかった。毎秒可愛くて、まんざらでもなさそうに、からかい半分な感じで、けっこうちょっかいをかけてきて、一瞬でも気を抜いたらキモい笑い声を出して手を出してしまいそうだった。まじで。これからあれが毎日? 僕けっきょく死んじゃうんじゃないのか。
     口元を覆う。彼女にはキモがられたくないから必死こいて固めていた表情筋が、もうゆるっゆるだった。こんな顔晒して歩いてたら公害だ。でも仕方ないことだと思う。だってフラれたら死ぬくらいに思ってた好きな女の子と付き合えたんだぞ。ふふ。余韻がすごい。僕と雉岡さんの家は真反対だから、これから彼女との下校の倍の時間を歩くわけだけど、きっと家に着いたってこの頬の緩みは締まることなんかないんだろう。なんて幸せなことだ。夢みたいだ。やっぱり夢か? 夢じゃないんだな〜!! 口元を覆っていた手を少しずらして、ほっぺをつねった。幸せすぎて痛くなかった。だってこの手はさっきまで雉岡さんと繋いでいた手なんだぞ。そんな手に何されたってもうぜーんぜん痛くも痒くもなんともないっつーか

    「るりほー!!」
    「痛ッッッてえ!!?」

     突然、ガクンと、首に衝撃が走った。結構な重さの打撃が首の裏に入って、頭を殴られたみたいな痛みが体を襲った。身体が大きく揺れて、勢いのまま前に倒れそうになった。けれど、僕の首の後ろに回された腕ががっしりと僕を離さずにいたから、僕はたたらを踏んでその場に留まった。体勢を整えてから、ギッと左を睨み上げると、案の定、厄介な男が僕にニッコリ笑いかけていた。僕はそいつの腕を強く握り込んで、僕の体からそれを剥がした。こいつと肩を組むほど打ち解けたことなんか僕の過去に1秒たりともないし、今後そうなる予定だって全くない。僕はそいつに向かい直って、「なにすんだよ!!」と怒鳴った。首がめちゃくちゃ痛かったけど、摩りでもしたらなんか負けたみたいだから、めちゃくちゃ強がって拳を握った。けれど当の男はというといつもと変わらずニコニコしながら「なにって、挨拶だよ挨拶」なんて抜かしていた。こいつと挨拶するような間柄になった覚えはない。僕は奥歯を強く噛み締めながら、威嚇するかのようにヤツにガンをつけた。それでもヤツはまるで僕なんか見えていないとでも言うようにニッコリとしている。気に入らない。

    「めちゃくちゃ睨んでくるな〜きみ」
    「当たり前だろ」
    「あれ。僕、そんなにきみに嫌われるようなことしたんだっけ」
    「したよ!! 忘れたのか!?」
    「忘れてないよ」

     そして、ヤツはすっと細長い目で僕を見据えた。僕は蛇にでも睨まれたかのように、ビリッといやな空気を感じ取って、すこし怯んだ。ヤツはその間にも、ふんふんと頷いて、「うん、僕はきみになにもしてないよ」と出鱈目なことを言った。だから僕はカッとなって、掴みかかってでもヤツを黙らせようと手を伸ばした。ネクタイごと、強くヤツの胸ぐらを掴み上げて、首に拳を押し当てた。にもかかわらず、ヤツはなんでもなさそうに口を動かし続けた。うっすらはりついた笑顔のまま。

    「きみは、僕に何もさせてくれたことないよね。契約はもちろん結んでないし、ちょっとしたお手伝いだってつっぱねてくれちゃったりしてさ。覚えてるよ、ちゃんと。ぜんぶ」

     それが不気味で。僕は咄嗟に手を離してしまった。ほんの少しだけ持ち上がっていたヤツの足が地について、ヤツは少しだけよろけて、けほけほと咳をした。けれどすぐにけろっとした顔に戻って、また僕に向き直った。なんだこいつ。やっぱこいつ、イカれてるんだ。雉岡さんに告白して正解だった。こんなヤツにわけのわからない横恋慕をしている彼女が幸せになれるとは思わない。だったらまだ僕と一緒になったほうがマシなはずだ。僕はスクバの持ち手をぎゅっと握りしめて、絶えずヤツに威嚇をした。ヤツも、何か意地でも張っているみたいに、ただニコニコし続けていた。そこで、違和感に気付く。こいつ、いつもより様子がおかしい。ムッとしたり悲しんだり、そういう感情を隠すようなヤツじゃないはずだ。いや、どうなんだろう。雉岡さんにはそうってだけで、他の奴らにはこんなニコニコしてるもんなんだっけか、と思ったところで、またヤツが口を開いた。

    「ま、お互い印象良くないみたいだけど。こうなったら仕方ないからさ。とりあえず、捺印してもらっていいかな」
    「……な、は?」

     するとヤツは、ブレザーの内ポケットから、何重かに畳まれた紙と、ボールペン、朱肉を取り出した。ヤツは紙を広げると、近くの家の塀に紙を押し付け、サッサと自分の名前を書いて、指で朱を印して、ボールペンと朱肉を僕に渡した。僕が思わず受け取ってしまうと、ヤツは紙を僕に見せるように広げ、笑顔のまま文字を指さして読み上げた。紙の端っこに、朱肉の朱が少し掠れてついたのが見えた。

    「ハイ、奴隷契約書ね〜。一つ、本橋依央利には、何を要求されても断る権利はありません。二つ、本橋依央利は、でもなんの見返りも求めません。三つ、ゆえに頼んだ側は、罪悪感を感じる必要は全くありません。四つ、カンチガイしないこと。本橋依央利はあくまでも前向きで自発的な奴隷です。わかりました? じゃあここに、自分の名前と、指。はい」

     何を言っているのか1ミリも頭に入ってこない。
     しかしただ混乱する勢いのままボールペンを紙に走らせようとしてしまうと、ボソッと「ムカつくなあ」と聞こえてきた。思わず顔に目をやると、彼はニコニコとした表情のまま、「ああ、気にしないでー。ほら、さっさと書いちゃって。あ、自分の名前わかります?」と言ってきたから、ムカッとして、いつもより乱暴に署名した。指で印を記すことにどういう意図があるか知らないけど、指紋も分からないくらい雑に強く押し潰して紙とペンを押し返した。ヤツは「はあい、ありがとー」と言うと、紙をいくらか振って朱肉を乾かし、また何重にも畳んで、全部を内ポケットに押し込んだ。そして










    (以降は展開のメモ)




    凛ちゃんの後ろ姿をきっちり見送ったあと、
    突然隣にいるいおりくんが襲いかかってきた



    るりほ〜! こんなところで奇遇だね内田くん!
    聞いたよ〜凛ちゃんと付き合ったんだって? おめでとう! 凛ちゃんのこと大好きだもんね、よかったね! 僕も大好きなんだ〜
    お、おなじだね
    ち……あはは そうだね! だから、仲良くしようね 凛ちゃんのためにね


    へー。楽しかったー?

    髪長かったんだね
    うん

    長い方がすき? ……どっちでもいい?
    いや どっちも捨てがたいなあと思って……
    ……ふふ なに、それ


    冬だってのにたくさん汗をかいていて
    熱が出てるんじゃないかってくらいくらくらしていて
    僕は朦朧とした意識の中、

    凛ちゃんが動いて。


    「好きだから付き合ってるんだけど……
     ちゃんと、好きだよ」


    見つけた
    さがしてたの?
    うん。


    ……心配 してくれてるんだ ふうん


    「なかよくしろ
     これは命令なんだよ」
    「きみはあの子の奴隷じゃないんだろ」
    「うるさいな これが僕なりの愛なんだ
     どうせきみにはわかんないよ」



    とても好きな子にかけるような言葉には聞こえないな


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