maybe・maybe 放課後の中庭で、アガレスは珍しいものを見た。
傾き始めた陽光が銀糸をオレンジ色に染める。中庭の片隅にあるベンチに、ガープが一人腰かけていた。
ガープが一人でいることは珍しい。根っからのお節介焼きの彼は大抵誰かの傍で世話を焼いている。特にアガレスの傍にいることが多く、気付けば周囲からアガレスといえばガープ、ガープといえばアガレス……などとセット扱いされるようになってしまった。
それが嫌ではない自分に、アガレスは少し驚いている。以前であれば他人とそこまで親密になるのは面倒だと感じていたはずだ。
絆されている。そう表現するのが一番近いだろうか。あのお節介侍を邪険にすることは、もうアガレスにはできない。
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