Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    ネムリブカ

    @oysm_nemuribuka

    深海の片隅で文章を書くネムリブカです。
    何かあった時や、万が一感想などお寄せくださる場合は以下のwaveboxへお願いします。
    慈悲→https://wavebox.me/wave/1er9vzmoy39b2dx1/

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 😎 🌻 👍 👏
    POIPOI 17

    ネムリブカ

    ☆quiet follow

    どうも、他人の褌で相撲取っ太郎です。
    神父×シスターな、なんちゃってファンタジーデビルハンター的なパロの葬台。ろくたさまのイラストhttps://twitter.com/mameroku11/status/1647508060079030272?s=46&t=B2lfqlRtwzV6IZHR_JsHVQからイメージを得ました。

    #WV
    #葬台
    funeralPyre

     どうしてこんなことに、と内心で呟きながら、静かに手を組んだヴァッシュは祈りの姿勢を取る。ちりり、左耳に付けた十字のピアスが揺れて、軽く音を立てた。
     聖堂の入り口付近の隅でそうしている彼の耳に、朗々と響く声が届く。抑揚が抑えられたそれは少しだけニ人きりの夜のことを思い出させて、ヴァッシュは居心地悪く背筋を伸ばした。
     ちらりと見やった先、中央祭壇の前では、カソックとペレグリナを身に付けたウルフウッドが聖書を片手に話をしている。いつもの着崩したスーツではないかっちりとした服装で、すっと背筋を伸ばしていると、まるで別人のようだ。
     聖職者に扮しているからか無精髭もなく、今の姿だけなら、ちょっと信じられないくらいの色男に見える。その上、声もいいのだ、この男。
     むむむ、とヴァッシュの眉間に薄く皺が寄る。恋人の魅力的な部分が不特定多数の人間に曝け出されているのは面白くない。
     きみ、ちゃんと綺麗な発音もできるんじゃないか。ささやかな八つ当たり代わりに考えつつ、再び目を閉じた。
     僕も神父が良かったのにと、ここへ来る前に散々言った文句は通らなかった。結局、ヴァッシュはシスター服を身に付けてこの場に居る。
     耳障りの良い低音が聖書の一節をなぞるのをBGMに、祈るフリで気配を探るが、特に意味がなかったようだ。諦めたヴァッシュは、エセ神父の声に合わせて集まっている人々と共に心の中で唱えた。
    『アーメン』

     ヴァッシュ・セイブレムと、ニコラス・D・ウルフウッドは「ミカエルの眼」と呼ばれる秘密組織に属する人間だ。そして秘密組織が何を目的としているかといえば、悪魔退治である。
     通常の人間は知らないことだが、何百年も前にこの世界と地獄との間に穴が空いた。そこから入り込む低級悪魔を討伐すべく組織されたのが、ミカエルの眼というわけだ。
     ミカエルの眼に所属するのは生まれつき神力が強い人間が選ばれる。組織の本部がある教会には天使が居て、彼が世界中から神力の強い人間を見つけては教えてくれるのだそうだ。ウルフウッドは孤児院の出身だが、特別力が強いのだと言われて、孤児院の安定した運営を条件に組織へやってきた。
     ヴァッシュはといえば元々教会で育てられた存在で、相性がいいからと言われてウルフウッドとバディを組んでいる。初めは喧嘩もした二人だったが、今では恋仲にまでなっているのだから、分からないものである。
    「きみ、訛らないように話せたんだね」
    「あ? ああ、台本あったら、なんとかやな」
     朝の礼拝を終えた聖堂内を片付けながら、ヴァッシュが口にした内容にウルフウッドは頷いた。聖書の内容をゆっくりとなぞるだけなら誤魔化しがきくのだと言う彼に、知らなかったなぁと笑ったヴァッシュはすぐに口をつぐんだ。誰かに聞かれては大変だ。
     一週間ほど前から、この辺りで人間が消えているという情報を得ていた教会は慎重に調べを進めていたが、つい三日ほど前に司祭が行方不明になったとの報告を受けて、組織から二人が派遣されてきた。
     巡礼の旅をしている神父と口のきけないシスターを装ってこの教会へと潜入した二人は、代わりの司祭が来るまでとの条件で教会の仕事をこなしながら、行方不明事件について調べている。なんでも、小さな教会には助祭が存在せず、たった一人の司祭しかいなかったのだそうだ。
     人がおらんのは都合ええけど、余計な仕事までさせんなや。ぶつくさ文句を言っていたウルフウッドに、ヴァッシュは苦笑しつつも同意した。ウルフウッドはまだしも、ヴァッシュは女装までさせられているのだ。男だとバレないために声を出すこともできないし、早く終わらせて帰りたい気持ちは彼以上にある。
    「そんで」
    「?」
    「朝はなんかおったか?」
     礼拝の間、ヴァッシュが気配を尖らせていたのに気付いていたらしい。首を横に振ることで答えたヴァッシュに、ウルフウッドは溜息を吐いた。
    「はぁ〜……タバコ吸いたいわ」
     ここでの神父として働き始めて二日目。ヘビースモーカーの彼は、早くも音を上げていた。いや、元を考えればよく持っている方なのかもしれないが。
     「そのまま禁煙したら」と言おうとして、閉口したヴァッシュは、すすすとウルフウッドに身を寄せる。そして、首を傾げる彼にだけ聞こえるようにして囁いた。
    「禁煙なぁ」
     ウルフウッドが眉尻を下げる様子を見て微笑み、ヴァッシュはポケットから取り出したものをちょんと彼の唇に触れさせる。
    「なんやこれ……飴ェ?」
     近所の子供がくれたんだよ。ひっそりと声を漏らすヴァッシュに、ウルフウッドは口元の飴に包装紙ごと噛み付いた。
    「恋人が口寂しい言うとんのやで。ちゃうやろ?」
    「……今の僕はシスターだから」
     修道服を脱ぐまでは、それに応えられないかな。小さな声の後半は、耳元へ吹き込むように告げられて、ウルフウッドは頭を抱えた。禁欲生活なんてとんでもない、と。

     さて、次の日の夕暮れ前である。信仰深い人間が多いのか、はたまたウルフウッドの容姿と声のお陰か、夜の礼拝は早い時間から満員御礼と言った様子でヴァッシュは些か面食らってしまった。それはウルフウッドも同様であったようだけれど。
     聞いていた話では、村人たちは普段は朝の礼拝のみ参加し、夜の礼拝は見送るものが多いとのことだったので、恐らくは旅の神父への好奇心半分、ウルフウッド目当てが半分と言ったところか。若い女性の割合が高く見受けられる点からも後者の説が有力だなと考えていたヴァッシュの隣でウルフウッドがぽかんとしている。
    「村人全員来とんとちゃうかこれ……」
     若干引いた様子で漏らすウルフウッドに、ヴァッシュは軽く肩を竦めて返す。そうはいっても帰れとは言えまい。それに、全員がいるのであれば、むしろ好都合であろう。
    「……はー……ほんならオドレ、代わりによう見とけよ」
     うん、と頷いてウルフウッドを見送り、代わりにヴァッシュは聖堂の外へと踏み出した。
     こじんまりとした村は一見穏やかで、こんな理由でなければ休暇にちょうどいいだろうになぁと少しがっかりしながらヴァッシュは大通りを歩く。
    「あ、シスターだ! こんばんは!」
     当たり前だが、流石に全員が礼拝に来ているわけではないらしい。昼間に遊んでやった子供の一人に声をかけられて、にっこり微笑んだヴァッシュは手を振って応えてやる。子供の隣に立つ母親らしき女性には、軽く会釈をした。
    「シスター、って旅の方……ですよね」
    「シスターはね、話せないんだよ!」
    「あらまぁ……そうなのねぇ」
     親子の会話に、笑顔を携えたままで頷いておく。気遣わしげな母親の表情に気付かないフリをしながら、礼をしてその場を離れた。夕食前の村はどの家も明かりが灯っていて、人の営みを感じられる。
     本当に、こんな理由でなければいいところなのに。改めて嘆息し、ヴァッシュはゆったりした足取りで村を回る。
     日中に得た情報では、犠牲者は老若男女を問わず出ているらしい。居なくなる時間はちょうど今の頃合で、彼らに共通しているのは、身寄りがない者ばかりだということ。
     今日はウルフウッドの礼拝のお陰で人出が少ないが、普段であれば家路に着くものも多く、混み合う時間帯だ。買い物客も多く居るので、被害者たちもそこで姿を確認されてもその後のことは誰も知らず、翌日になって事件が発覚する。
     とはいえ、最後の被害者は教会の神父である。そんな目立つ人物を襲うなど、いい加減狙う相手もいなくなっているということだろう。聞いたところ村にはもう独り身の人間はいないとのことだし、次の被害者が出るのであればヴァッシュが止められるかもしれない。
     ──もしくは、ヴァッシュ自身が狙われるか。
     村の外れで足を止め、村を振り返る。ここまで特に変わった様子はなかったし、それらしい気配も感じられなかった。
     今日は何も起きないかもしれない。そう考えたヴァッシュが少し力を抜いて、教会へ戻ろうとした時だった。
     突然、背後の草むらから出てきた何かに足首を掴まれて、咄嗟に身を捩る。くるりと回った勢いのまま足を引き抜いたヴァッシュは、スカートを翻し、中から愛銃を取り出して素早く構えた。
     ギイ、と鳴いた“何か”が、鞭のようにしなる腕をこちらへ伸ばしてくる。立て続けに二発撃ち込んで腕を落とせば、それはまた鳴いて、ジリジリとヴァッシュとの間合いを測るように身動いだ。
     片膝をついたヴァッシュが相手に油断なく照準を合わせ続けていると、やがて不利だと判断したようだ。闇に紛れるようにして逃げ出す姿を見送った。
    「……使い魔だったな」
     撃ち落とした腕が蒸発するように消える様を見ながら、銃を下ろして呟いた。おそらく、主人の元へヴァッシュを連れて行くつもりだったのだろう。銃を太腿のホルスターに戻して、ヴァッシュは教会への道を歩き出す。
     ヴァッシュが見た通りの話せないシスターだったならば攫うのに最適な人材と言えたかもしれないが、そうではなかった。返り討ちにあった以上は一旦戻り、報告をするに違いない。
     主人が目撃者を始末するにしても再襲撃するにしても、結果は同じだ。こちらがシスター服を着ている以上、教会を狙ってくるだろう。
     そろそろ礼拝も終わる時間だろうと思いながら聖堂の扉を開けば、礼拝は終わっていたが、ウルフウッドが村の女性たちに囲まれていた。ヴァッシュは少しムッとしたものの、それを表に出すわけにもいかない。この時ばかりは話せない設定で助かったなと思いつつ、帰宅する人々にお辞儀をすることで誤魔化した。
    「あー、せやからワイらは旅しとって、代理で少ぉしやっとるだけやから」
    「ずっといらっしゃるわけじゃないんですか?」
    「このままここの神父様になってはいただけないんでしょうか」
    「もう数日もしたら新しい司祭が来るさかい。それまで辛抱してや」
     村にはいないタイプの男が珍しいのだろう、十代くらいの少女たちに囲まれて、ウルフウッドは少し苦い顔をしている。表面上は穏やかに取り繕っているが、ヴァッシュには彼の気持ちが手に取るように分かった。いい加減家に帰れ。きっとそう思っているに違いない。
    「ほれもう遅くなるしやな、そろそろ帰──っと、シスターエリクス! 戻ってたんか」
     そろそろ助け舟を出すべきかと考えていると、向こうから声を掛けられてヴァッシュは困ったように眉尻を下げて見せた。清廉潔白なシスターの顔で、邪魔をしてごめんなさい、の顔だ。私は貴女たちの敵ではありませんよ、と表すように。年頃の女の子を敵に回すのは怖いとヴァッシュは知っているからだ。
     果たしてその笑顔は彼女たちにどう映ったのか。水を打ったように静かになった少女たちは、顔を見合わせてからちらりとウルフウッドを見て、お辞儀をすると入り口へと歩き始めた。
    「ええタイミングやったわ。助かったで」
    「うん……あれ、なんだったんだろう」
     全員が出て行ったのを確認して扉を閉めたヴァッシュが思わず口に出して首を傾げていると、隣で飴の包みを外していたウルフウッドがニヤリと笑う。
    「そらオドレがどえらい別嬪やからやろ」
    「ええっ?」
    「ええ加減自覚せんかい」
     軽く頭を引っ叩かれて、ズレたウィンプルを直しながらヴァッシュはまた首を捻る。基本的に他人の美醜に興味がないヴァッシュは自分の容姿についても無頓着で、自分がどう見られてどう作用するのかなどが分かっていない。それがウルフウッドの心労を増やしていることも知らないでいるので、また罪深い。
    「……まあ、自覚したらコイツとちゃうか」
    「何か言った?」
    「気にしなや。はよ片付けんで」
     口内で飴を転がしながらの言葉はうまく届かなかったらしい。不思議そうな様子の恋人をせっつき、ウルフウッドは聖堂内の片付けに取り掛かる。勝手だなぁとぼやきながら、ヴァッシュもそれに続いた。
    「なぁ」
     やがて片付けも終わる頃、ウルフウッドが声を掛けてくる。壁に設置された燭台に刺さった蝋燭の火を消して回っていたヴァッシュは振り向いて、手にしていたキャンドルスナッファーを取り落とした。
     ウルフウッドが、背後の壁に手をついてヴァッシュを閉じ込めたからだ。金属が石畳にぶつかる硬質な音の響きが鳴り止むのを待って、ヴァッシュは覗き込んでくるウルフウッドを見返した。
    「どうしたの」
    「飴、なくなってもうた」
    「おかわりが必要?」
    「……キスの一つくらいええんちゃう? ワイ、昨日からお務め頑張っとんで」
    「どうかなぁ」
     至近距離で凶悪に顔を歪めて見せる自分へ微笑ったヴァッシュがそう返すのに、ウルフウッドは更に目を眇める。がう、と狼のように噛みついて来ようとする彼の唇にヴァッシュは手を伸ばして動きを制した。
    「ふぁふぃふんは(何すんや)」
     開けた口に弾丸を挟み込まれたウルフウッドが文句を言うのを見て、ヴァッシュは少し唇を尖らせて俯く。
    「……女の子に囲まれてたくせに」
    「ふぁア?!」
     律儀に弾丸を咥えたままで声を上げるウルフウッドをヴァッシュが目だけで見上げた時、不意に聖堂の扉が開く音が響き、二人は同時にそちらへ顔を向けた。
     入り口には男性と思しき影が立っている。一瞬、ヴァッシュと視線を交差させ、口から弾丸を外したウルフウッドが口を開く。
    「……どちらさん? すまんな、もう礼拝は終わっとるんやけど」
    「神父、さま。シスターに、用が、あります」
    「さよか。そんなら、ここはもう締めるさかい、司祭館の方へどうぞ」
    「いえ、いえ……すぐに済みます、ので」
    「でももう明かりも落としてもうたしなァ。暗いし、」
     言い差して、ウルフウッドはヴァッシュのスカートを勢いよく捲り上げた。
    「──危ないでェッ」
     流れるような動きでヴァッシュの太腿ホルスターから銃を抜き出し、男に容赦なく銃弾を叩き込む。
     ダンダンダンダン、両足の膝と脛に撃ち込み、男が人外の悲鳴と共に崩れ落ちるのを待つことなく更にトリガーを引く。
     が、カチン、と軽く鳴った音に盛大に舌打ちをして銃を下ろした。
    「トンガリィ! 四発で弾切れやないか!」
    「さっき二発使っちゃったんだよ」
    「ハァ〜? 扱いにくいし使えん銃やめえや! なんでリボルバーなんやオドレは!」
    「きみの銃じゃないんだからいいだろ!」
    「やかましいわ!」
     ウルフウッドは理不尽に文句を言いながらモゾモゾとアンクルホルスターから自分の銃を取り出す。ヴァッシュは放り出された愛銃を受け取り、仕方がないなぁとリロードをした。
    「アカンわ。もっとスッと出せるとこにせんと」
    「脇じゃダメなの?」
    「見えそうやろ」
    「確かに」
     神父服って不便なんだね。プレスチェックをするウルフウッドの代わりに男だったものへ銃を向けてヴァッシュは肩を竦める。
     照準の先では、人の形を保てなくなったものが、ぐちゃぐちゃになりながら歪な羽を生やして蠢いていた。
    「人間食い過ぎやろ。カタチも保てんくなっとるやないか」
    「ウルフウッド、使い魔が」
     ズル、引き摺る音と共に現れたのは、ヴァッシュを襲った使い魔だ。吸い寄せられるようにしてその身を合体させられ、悪魔は一回り大きくなる。
    「使い魔もおったっちゅうことは、それなりに強いヤツだったんか? その割には溶けとるけど」
    「たぶん、ここの司祭を取り込んだから……」
    「神力でバランス取れんようなったんか」
    「だと思う」
    「とんだマヌケやな」
     呆れたように口にしつつ、銃口を向けたウルフウッドは急所と思われる場所に二発ずつ撃ち込んだ。
     組織から支給される弾丸は特別製で、神力が込められている。吸血鬼用の銀の弾のようなもので、これを使って浄化、もとい討伐をしているのだ。
     大抵の悪魔はこれで倒せるが、今回のようなパターンだと中々浄化しきれないこともある。
    「チッ……変に耐性あるな」
    「ウルフウッド」
    「分かっとるわ。すぐ楽にしたる」
     銃をしまったウルフウッドが銀のナイフを取り出して悪魔に近づく後ろから、ヴァッシュも銃を構えて続く。
     死にきらないが、再生もできないような状態の悪魔を見下ろし、ウルフウッドは手の平を翳した。
    「往生せえや」
     開いた掌にナイフで傷をつけ、溢れ出た血液を悪魔にかける。じゅう、と焼けるような音と共に悪魔は断末魔を上げたかと思うと、やがて液状になり、蒸発し始めた。
     これが、組織が神力の強い人間を集めている理由だ。神力が強い者の体液は、悪魔にとって毒のようなもの。特別製の弾では倒しきれない悪魔にとどめを刺すための最終手段となる。
    「ウルフウッド、手当てを」
     申し訳程度の十字を切っていたウルフウッドにヴァッシュが声を掛けた。
    「こんなんすぐ止まるわ」
    「ダメだよ。ちゃんと手当てをさせて」
     怪我をした手を取られて見つめられると、ヴァッシュの真っ直ぐな眼差しに弱いウルフウッドは折れざるを得ない。傷に障らないように、けれど少しもびくともしない手に諦めた彼は、深い溜息と共に空いてる手をヴァッシュの尻に伸ばした。
    「ひゃあっ、う、ウルフウッド?」
    「手当が終わったらサービスしてくれるんやろな」
    「ええ……それはそのぉ……」
     もう仕事も終わったのだから良いだろう、とウルフウッドはヴァッシュの臀部を鷲掴む。言い淀むヴァッシュに、いやらしく尻肉を揉みしだいた。
    「……あーあ。ワイ、禁欲に続く禁欲でケガまでしとんのになァ。しかも理不尽にヤキモチ妬かれてチューの一つもさせてもらえんとはなァ……」
    「あっ、あれはちょっと揶揄うつもりでっ」
    「オドレに惚れ込んどる男の純情揶揄って楽しいか?」
    「うう……」
     顔を近づけたウルフウッドにじっとりと睨まれ、ヴァッシュは小さくなるしかない。ウルフウッドの気持ちを疑ったことはないが、彼がモテて勝手に拗ねて八つ当たりをしようとしたのは事実。
     ぐうの音も出せないヴァッシュに、トドメとばかりにウルフウッドは囁いた。
    「なァ……ヴァッシュ?」
     大好きな声で耳に吹き込まれて、両手で顔を覆ったヴァッシュは唸るように承諾する。
    「あぁぁう……さ、サービスはともかく、ベッドは一緒でいいよ……」
    「セックスはァ?」
    「神様の前でなんてこと言うんだよ!」
     明け透けすぎる言葉に、流石のヴァッシュもウルフウッドの横っ面を殴り飛ばした。
     聖堂内に響いた音の後、二人がどうなったかは、翌日の朝の礼拝にシスターの姿がなかったことからお察しである。



    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺☺💞💞🙏💒💒💒👏👏💒😭🌋🙏🙏🙏🙏💒🙏🙏🙏🙏💒🙏💖💖💖👏👏👏💴💴❤❤💯💯💯💖👏💒💞👏👏👏💖💖💖❤❤❤☺☺☺☺🙏✝❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works