流水さぁて皆さんお立ち会い、お立ち会い。
この世が聖魔(ひと)の世となる昔より、この世の全ての水の流れは一処より始まるのです。
遠い神代の時分より水は無くてはならぬものと決まっております。この世に生きる全ての者、白かろうが黒かろうが、光だろうが陰だろうが、若かろうが老いようが、貴きお方だろうが民草だろうが、皆、等しく水が無ければ生き長らえることは能いませぬ。どちらに与しようとも、どれほど偉大な力を蓄えようと、水なくばその命脈、保つことはできぬのです。
そうです、そうです!
何よりこの地もこの天も、水無くば当たり前に在ることすらできますまい。
水無くば?あぁ、この世の多くは脆くも崩れることとなのでしょう、そう、かつてのあの水禍のような、あれこそ悲劇と申すに相応しい、あれで、我等は上つ方の無慈悲を知ったのでござますよ、おや、お忘れか?今では、もはや遠い昔のこととなりましたかいやいや、本当に時の経つのは早きこと、矢の如し。
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