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    ななくさ

    NLからBL、にょたショタなんでも好きなものを好きなように。ジャンルも雑多、フリーダム。
    色々省略した落書きばっかり。たーのしー!

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    ななくさ

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    シュナスザはいいぞ。

    ##シュナスザ

    悪夢「……ク、スザク、起きなさい」
     優しい声に導かれるように闇の中から意識を浮上させると、いつものように穏やかな、それでいてほんの少しだけ眉間に皺を寄せたその人と目が合った。ベッドサイドに腰を下ろしてこちらの様子を窺っている。
    「……殿下、」
     寝起きは良い方だと自覚しているが何故だか今日はぼんやりと頭が重い。ふかふかで自分には広すぎるこの人のベッドの上で、真白のシーツに沈んだまま小指の先を動かすのも億劫だ。それなのに心臓だけが煩いぐらいに動いている。
    「随分とうなされていたよ、大丈夫かい?」
    「……」
     返事をしようと開いた唇からうまく声が出ずに息だけが漏れたのを、その人は見逃さずいつもの穏やかな表情を曇らせた。曇らせてしまった。自分が、曇らせた。
    「スザク」
     手が伸びてくる。まだ白い手袋を付けていない、それでも白くて長い綺麗な指先が頬に触れようとしたそのすんでの所で言葉が出た。触れる前にぴたりとその手が止まる。
    「夢を見ました。……どんな夢だったか、ほとんど覚えてはいませんが」
    「……そう。余程悪い夢だったようだから、そのまま忘れてしまいなさい」
     そう言いながらその人が立ち上がった。先程触れることの叶わなかったその指先に見慣れた白い手袋を通していく。そこで再び手が伸びてくる。今度は声を上げて遮ることはなく、ただ頭を撫でられた。優しくて大きな手だった。ほんの少しだけ撫でると、その人は背を向けて少し離れたところで上着を羽織る。
     ぴんと真っ直ぐに伸びたその後ろ姿が好きだと思ってしまって、思わず視線を逸らした。
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