寝取り流花 恋は劇薬。劇薬は悪。悪は痛み。
痛みを伴わない恋など存在しない。
「流川ッ! テメーいまライン踏んでただろ!」
「踏んでねー」
「踏んでた!」
この男のすべてを食らいつくしたい。視線を独り占めして、饒舌な口を黙らせ、その桜色の首筋に顔を埋めたい。そうしたら、桜木は一体どんな顔をするだろうか。
「花道くん」
唐突に、お疲れさま、と部活を終えた二人だけの自主練中に眼鏡をかけた男がやって来る。そいつを見た途端、猛禽類のように俺を睨んでいた桜木の表情がパッと華やいだ。俺の存在など忘れ一直線にそいつの元へと走り去っていく桜木の腕を咄嗟に掴む。怪訝そうな顔をしてこちらを振り向いた桜木が、なんだよと冷たい声で言い放った。
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