毛布と花束ある日ハリードはエレンと共に山中の道を目的地の町に向かって歩いていた。山を迂回する平地ルートもあったが、先を急ぎたかったハリードが山越えルートを選択した。二人の足なら早朝に発てば余裕をもって夕方前に目的地に着くはずだったが、途中で大型のモンスターが暴れており、なんとか倒したもののモンスターによる倒木や落石のせいで道が寸断され、山を下りられないまま日が傾いてしまった。
「ハリード、あそこに小屋があるわ」
先を歩いていたエレンが簡素な木造の建物を指さした。
「木こりの避難小屋だろうな。よし、一晩休ませてもらうか」
「ここに泊まるの? まだ日が沈むまで時間があるから、少し休んで急げば夜には町に着けるんじゃない?」
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