年越しダイシンちゃん「シンジ、眠いか?」
「んん…だい…じょ……、…」
大晦日の23時50分すぎ。
シンジん家で、俺たちは歳を越す瞬間を待っている。
暖房はもちろん付けていて、すごく暖かい部屋なんだが、自然と俺たちはぴったりとくっつき寄り添って、ひとつの毛布に包まっていた。
隣にいるシンジは、この時間はいつも眠っているから、俺の肩に寄りかかって、うとうとと今にも眠りそうな感じだ。
「ふふっ、ダイヤくんの手、あたたかいな」
そんなシンジが囁くくらいの声で呟くと、より俺の方へと身を預けてきた(可愛い…)。
そしてシンジは、俺の手を握り、指を絡ませてきて、いわゆる恋人繋ぎをしてくる。
俺もシンジの温かい手を握り返す。
「ダイヤくん、今年もいっぱいいっぱいありがとうね」
「こっちこそ。また来年もよろしくな」
「うん。…ダイヤくん」
「ん?」
「大好きだよ」
シンジの握る手がさらにギュッと強まる。
暑さのせいではない理由で顔を赤く染めるシンジは、すごくすごく嬉しそうに微笑んでいた。
「俺も。ダイスキ」
目を閉じれば、手のひらや肩やら密着してる所から、シンジの熱をいっそう感じられて、
大好きな人と一緒に、大事な時を過ごすことができる喜びに感謝した。
来年も、この先も、ずっとお前と並んでいられたらいいな。
シン…と静まりきった部屋には、時計のカチカチ音だけが響く。
俺とシンジは時計の秒針を目で追っていて、それが12の数字を通過した。
「年、明けたね」
「だな」
手汗がにじみ出るくらいには、ずっと握っていた手を、さらにギュッと強く握って。
よりお互いの熱を、体温を感じられて。
俺は幸せを噛みしめながら、シンジのまぶたにキスをした。
「もう、寝てもいいんだぞ」
「…まだ、こうしていたいな。ダイヤくんと一緒に新年を迎えられた喜びを、感じていたい」
今にも眠りそうな声色で、シンジは可愛いことを言ってきた。
「そんなこと言ったら、俺襲いたくなるんだけど」
思わず俺は冗談を言うが、
「ふふ、いいよ…素敵な夜にしようね、ダイヤくん…」
とシンジはいつも以上に甘い声で吐露した。
そしてそのまま、すぅーすぅーと寝息を立て始める。
眠り始めても、俺の手は変わらずにぎにぎと離さずにいてくれている。
「ったく…言いながら寝るんじゃねーよ」
俺は小さく零しつつも、心地よさそうに眠るシンジの寝顔を見て、すごく嬉しさが込み上げてきた。
「おやすみ、シンジ…」
後でまた目が覚めたらベッドで寝るように言うか…なんかを色々考えてくうちに、俺の思考もウトウトとし始めて、
灯りをつけたまま、いつのまにか俺もぐっすりと眠りについてしまったようだ…。
~完~