リオガイ「へえ、その茶葉に興味があるのかい?」
騎士団の用事を終え、土産の品を見繕っていたガイアの背中に声が掛けられる。振り向いた先に居たのは、赤い外套を着た黒い髪の男だった。
「ああ、土産に良さそうだと思ってな」
「土産か……参考までに聞きたいんだが、いつ頃帰るつもりだ?」
いつ帰るのか、という質問にガイアは瞠目する。茶葉は乾燥させたものが多いから比較的長持ちするものだが、どうやらガイアが買おうか悩んでいた茶葉は足が早いものらしい。
「困ったな、どう頑張ってもモンドに帰るまでに鮮度が落ちそうだ」
「そういうことだ。いきなり声をかけて悪かったな」
「いや、助かった。ありがとう」
「どういたしまして」
そこで一旦言葉を区切ったガイアは、しかし次の瞬間目の前の男にジトリとした警戒の視線を向ける。
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