光彩陸離今日も頭上に広がる空は晴天で、透き通るような空には翳りもない。太陽が昇れば浮き上がる雲の形を縁取るように陽光を煌めかせ、その輝きを遮るのも流れ行く綿毛のような雲である。
美しさはいつまでも変わらず仰ぎ見れば尊さをも感じ、煌めきを宿す陽光が月光に変わる瞬間までも美しい。この青空を翔けるように飛ぶ事がバハムートのドミナントであるディオン・ルサージュの使命でも有り、宿した者の宿命でもある。一介の竜騎士として成熟した今、何よりも槍を武器として跳び上がる事よりも、バハムートとして飛び上がる事の方が多くなりつつ有る。それは自分にとって、どう言う状況に有るのか――これは自分で考えるよりも、テランスの方がよく理解しているのだろう。
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