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    5RTでヱロい話を書く用に書いてたんですが、変なふうに転がって止まった。

    「つれないな」
     長い指が、ゆっくりと背を這い上がる。
    「あんなにも、縋って、強請ってきたというのに」
    「そ、そんな、覚えてません!」
     首がもげるほどに横に振る。
    「ふうん」
     微かに傷ついた光がその目に宿った気がした。けれど、それは瞬きひとつで隠れてしまう。魅入られたように見つめていると、先生は酷く甘い声で僕に言った。
    「俺のことを、好きだと言ったことも?」
    「すっ……!?」
     酸欠の魚のように口をぱくつかせる。
    「ありえません! なにかの間違えです……、わ、忘れてください!」
     ベッドから転がり落ちるように逃げ出したが、床に散らばった服に気を取られた瞬間に、その腕に捕らえられてしまう。
    「お前は忘れられるのか?」
     後ろから抱き締められ、背中に触れるぬくもりに、叫び出したい衝動に襲われた。
     こんなのありえない。信じられない。なにかの間違えだ。
    「忘れるもなにも、覚えてないんです!」
     振り払うように首を横に振る。
    「お願いです……、ほんとうに、許して……」
     きつく目を閉じた。
     顔を見ては、拒めないと思ったから。
     言葉の真偽を吟味するように、沈黙が訪れた。問い詰められるのも恐ろしいが、沈黙はより恐ろしい。唾飲む音が大きく響いた。早鐘を打つ心臓の音まで、聞こえてしまいそうだ。
     ふ、と先生が長い息を吐いた。
    「酷いことをしてしまいそうだ。逃げようなんて、二度と考えられないような、酷いことを」
     体に巻き付いていた左手が、ゆっくり上り、首にかかる。
     なぜだろう。
     言葉とはうらはらに、逃げるなら今だと、問われている気がした。恐ろしいだろう、怖いだろう、と。
     恐ろしいときほど、前に。
     染み付いた教えが、僕の口を開かせた。
    「それって、どんな……こと、ですか?」
     予想外だったのか、先生は小さく目を見張った。
     まだ、わずかに残されていた帰り道が、暗く、閉ざされていく気がした。きっと、気のせいでなく。
     笑おうと思った。けれど、無理だった。
     交じる視線に、切実な色が混じるのを、止められない。
    「問題児め」
     憎々しげな声。
     切りつけそうな鋭い瞳。
     まだ取り繕っていたその端正な頬が、狼のように歪む。それをとてもきれいだと思った。
     早く、僕の意気地のない心を引き裂いて。
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