会えない時を埋めるように、触れ合うようになったのは、いつからだろう。
触れられるのは嫌じゃない。
触れるのも、嫌いじゃない。
手っ取り早く、互いを確認し合えるし。
気持ちいいし。
でも、隠れるみたいに、息を潜めて、これでいいのだろうかと、叫びたくなるような不安が僕を襲う。
それが怖くて、先生を求めて、すがりついて、滴るくらいの愛を注がれて。
そうしていると、世界はこの部屋がすべてのような気がしてきて、僕はもう、どうしていいか分からなくなる。
噛み締め、塞ぎ込めた言葉の代わりに、涙が溢れた。
「泣くな」
指が涙を塞き止めた。それもすぐに決壊して、頬を伝い、シーツに落ちる。
「苛めてるみたいだろう」
こんな時でも、至極冷静な声に、なにか言わなくてはと思うのに、なにも言えない。
「嫌なのか」
違う。違うんです。
せめて、それだけは伝えようと、首を横に振る。
海亀は産卵のとき、泣くという。
じゃあ、なにも産み出せない僕は、なぜ泣いてるのだろう。