お届け物 預かっていた品をお持ちしました、と屋敷を訪ねてきた男がいた。主は留守なのだが、聞くとかなり遠方からの届け物。屋敷に上がっていただき、話を伺うことにする。
不死川様には本当に危ないところを助けていただいたのです、とその男は言う。夜な夜な山あいから飛び出てくる鬼に集落として手を焼いていた時、仕留めてくれたのがこの屋敷の主。任務を終えた夜は名主を務めていた男の家に泊まった。とはいえ、彼は一睡もせずに過ごし、朝霧もまだ晴れぬ間に出立したという。
聞けばそれはもう2年も前のこと、その間に鬼はその始祖を含めてすべて滅されたからもう心配はご無用なのですよと私は伝える。悪鬼滅殺の宿願成就は、この屋敷の主の功績でもある。
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