薄暮まで「ヤー、来たね。お疲れ様。ハン・ジュウォン警部補」
「お待たせしました。イ・ドンシクさん」
海浜公園と併設されたホテルの駐車場で落ち合って、眺めのいい場所にいたドンシクに声を掛けた。
「良かった。昨日の夜より元気そう」
「あなたは――」
長い髪は思ったよりずっと儚げに見えて、薄曇りの空に紛れて消えてしまいそうだ。
呪いは解け、敵は去っても、後悔と悲しみはまだ胸にある。
それでも、新しく芽生えた希望と、やっとドンシク自身のものになった人生。
「初めからこういう風に会えば良かったね。そしたらあなた、もっとよく眠れたのに」
昨晩の通話は楽しかった。外もいいが、自分の部屋にいる方がいい。
「ホテルに泊まるんですか?」
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