佐川はんの家で誕生日ケーキを食べた帰り道…
「真島くぅ~ん、見~っけ!」
「げ…」
背後から声をかけられた。
西谷誉。
最近やたらと付きまとってくる。ほぼほぼストーカーだ。
「真島くぅ~ん、喧嘩しようや!」
「…せぇへん」
「何でや!最近全然喧嘩してくれへんやん」
「喧嘩する理由がないからや!」
西谷は会うたびに喧嘩をしようと吹っかけてくる。
俺も喧嘩するのは嫌いではない(むしろ好きだ)し、
西谷相手なら手加減する必要もなく、思いっきり暴れられるからストレス発散にもなる。
ただグランドの支配人という立場で、人前に出られなくなるような痣や傷なんかを作る訳にはいかないのだ。
「ほんま真島くんはつれないなぁ…まぁ今日は特別な日やから、喧嘩は我慢しとくわ」
「? なんやねん特別な日って」
「ほい、これ」
西谷は手に持っていた紙袋を渡してきた。
そういえば、何か大事そうにずっと持っていたけれど…
「何や?これ」
「真島くん今日誕生日やろ?おめでとうさん!
真島くんへの誕生日プレゼントやでー受け取ってや!」
「は!?」
誕生日プレゼント?
「なんで俺の誕生日を知ってんねん!」
「真島くんのことは何でも知ってるでー、ええから開けて開けて」
「……ま、まぁ…くれる言うなら、貰ってもええけど…」
「はよはよ!」
紙袋を開けてみる。中には…
「な、何やねんこれ!!!!!!」
そこに入っていたのはローションとかゴムとか…大人のおもちゃとか…いわゆる…そういうグッズの数々だった。
「ええやろ?真島くんと一緒に使おう思てな」
「!?」
「今日は特別な日やから、喧嘩やのうて、セックスしよや」
「な、な、なんでお前とせなあかんねん!」
「何でも何も、ワシが真島くんとしたいからやし、喧嘩もセックスも似たようなものやろ」
「どこが似てるんや!」
「ええから、ええから!一緒に気持ち良うなろうや」
「いやや!」
俺は一目散にその場から逃げ出した。
「えっ、ちょお待ってや真島くん!逃げんといてぇ!」
ハァ、ハァ…なんとか西谷を撒くことができた。
……あっ、しまった。
貰ったプレゼント(いやこんなんプレゼントちゃう!)をそのまま持ってきてしまった…
どうしたらいいのだろう。なんとなく捨てるのも悪い気がするしな…。
とりあえず自宅に置いておくか…。
後日、西谷が自宅へ押しかけてきて「真島くぅ~ん、あっ、プレゼントちゃんと取っといてくれとるやん!?」とか何とか言ってきて、使おうとしてくるが……それはまた別の話。