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    くるる

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    くるる

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    お付き合いをしている八東世界線の海→東

    前に書いたやつの続きです。
    続かないとか言っていたのに、ノリで続きを書いてしまった。

    ギャグ路線。

    もう続かない…これ以上続いたら3Pするしかない気がする(?)
    それはちょっとイヤだ。

    「ター坊、ちょっと話がある」
    「んー何? 海藤さん」
    「俺も東のことが好きみたいだ」
    「……は?」

    午前中に数件の依頼をこなし、探偵事務所でのんびりしていた午後のことだ。
    海藤さんが、突然そんな事を言い出した。

    「え、えーっと…それは『かわいい弟分として好き』ってことではなく…?」
    「ああ、恋愛感情としての『好き』だ」

    う、嘘だろ…海藤さんの恋愛対象は女だったはずだ。
    それなのに…どういうことなんだ!?

    「ちょ、ちょっと待って…海藤さんは女が好きだったと思ったけど」
    「まぁな。でも東のことは特別みたいなんだ」

    まぁ…東はかわいいし色気もあるし、特別っていうのには激しく同意だ。

    「そう…でも俺、東と付き合ってるんだけど?」
    「ああ、知ってる」
    「前に、俺たちのこと応援してるって言ってたよね」
    「そうだな、前までは本気でそう思ってた」
    「……今は違うの?」
    「ああ…俺は東のことが好きだ。だから東と恋人同士になりたいと思っている」

    海藤さんの表情は真剣そのものだ。
    俺をからかっているとか冗談だとか、そういう類いのものではないことが、充分すぎるほど伝わってきた。

    「……つまり、俺から東を略奪するってことなのかな? 寝取るってこと?」
    「それは違う。俺は正々堂々と、東に俺のことを好きになってもらう」
    「なるほど」

    今のところ、俺は東と一生離れる気はない。
    けれど人の気持ちなんて、どうなるかはわからない。
    俺が東に嫌われたり、東に他に好きな人ができるかもしれない……あ、考えただけで泣きそうになってきた。

    「好きになってもらえるかはわからねぇ…でも俺は諦めたくねぇんだ」

    海藤さんの熱い気持ちが伝わってくる。

    本気なんだ。

    しかし、俺だって負けていられない。

    「…俺は、東のこと手放すつもりないけど」
    「ああ、だから、ター坊より俺のほうが魅力的だってことを、東に伝わるように頑張るつもりだ」
    「は?ちょっとちょっと…誰が誰より魅力的だって!?」
    「ター坊より、俺の方が魅力的」

    冷静沈着でクールな俺も、そんな風に言われるとさすがにカチンと来てしまった。

    「それは聞き捨てならないな…そもそも海藤さんと俺とじゃ、タイプが違うでしょ」
    「タイプ?」
    「うーん…体育会系と文系との違いみたいな」
    「俺が文系なのかっ!?」
    「ちげぇよ!どう考えても海藤さんは体育会系でしょ!」
    「そうか」
    「そうだよ。それに東は、俺みたいな知的なタイプが好みなんだ」
    「はぁ!? 誰が知的だって? 頭はいいかも知れないが、他はポンコツだろ」
    「なっ、俺のどこがポンコツなんだよ!」

    はぁ…しかしなんてことだ…海藤さんも東のことを好きになるとは…。
    この先、どうなってしまうんだろう…。

    ・・・

    時刻は過ぎ…

    「…あ、もう夕飯の時間か…俺は東を誘うからな」
    「は? ちょっと待ってよ、東は俺と夕飯に行くんだ」
    「早く誘ったもん勝ちだろ!? じゃあな」
    「あっ!? ちょ、ずるいぞ海藤さん!」

    海藤さんは素早く事務所を飛び出していった。
    俺も慌てて後を追う…くそっ…待ってろよ東…!

    ・・・

    (注:ここから東視点)

    ゲームセンターシャルル。

    「くしゅん、くしゅん!」
    「東の兄貴、風邪ですか?」

    突然くしゃみが出てしまった。
    俺が雇っているシャルルの店員(元舎弟だ)に心配される。

    「んー…いや、わからねぇ」
    「誰かが兄貴の噂してるんですかね」
    「噂されるようなことはしてねぇけどな…じゃ、店のことよろしくな」
    「へい!お疲れ様でした!」

    店員に仕事を引き継ぎ、店をあとにしようとした時…

    「東~夕飯に行こうぜ!」
    「兄貴!?」

    海藤の兄貴が、シャルルに突然やって来た。
    久し振りの兄貴の姿に、喜びがあふれる。
    最近、兄貴とはあまり会えていなかった。
    俺と八神が付き合っていることを知っている兄貴は、きっと俺たちに気を遣ってくれてたんだろう。

    「久し振りに俺と一緒に夕飯に行こう」
    「え?」
    「何か予定あるのか?」

    兄貴と夕飯!
    八神と過ごすのも大切だが、やっぱり兄貴と一緒に過ごす時間も大切だ。
    俺にとって、兄貴はずっと憧れの存在だ。

    「いえ、特には…」
    「ちょっと待ったああああ!」
    「や、八神!?」

    今度は八神がやって来た。
    な、何だ? 何が起きてるんだ?

    「遅かったな、ター坊」
    「ハァハァ…くそ…なんで町歩くだけでチンピラに絡まれまくるんだよ…」

    八神は息も絶え絶えだ。

    「ハァ、ハァ…東…俺と夕飯に行こう…」
    「えっ?」
    「おい、ター坊、俺のほうが先に東を誘ったんだ」
    「…いや、でも東はまだ返事をしてないだろ」
    「うっ…いや、まぁそうだが…」
    「それに東は俺の恋人だからな…俺のほうを優先するはずだ」
    「はぁ!? 何でそうなるんだよ! それこそ兄貴である俺を優先するだろうが」
    「いや、東は俺を…」
    「俺だ!」
    「東、俺と行くよな」
    「いいや、俺と行くだろ東!」

    どうなってるんだ!? 何で兄貴と八神が言い争いみたいになっているんだ?

    「お願いします!」
    「俺と行こうぜ東!」

    兄貴と八神が、お辞儀をしながら右手を差し出す。
    これは、どちらかを選んで手を握る、ということなのだろう。

    なんか…昔こんなテレビ番組があったのを思い出す。
    『ねるとん紅鯨団』だ。
    ※若いヤツは知らないだろうから、ネットで調べてくれ。

    「兄貴、モテモテっすね」

    元舎弟の店員は、完全に面白がっている。

    けれど、これはどういう状況なんだろう?
    兄貴は、俺と八神が付き合っていることを知っている。
    いつもの兄貴なら「邪魔しちゃ悪いから、2人で行ってこいよ」なんて言って、自分から身を引いてくれそうなのに。

    確かに店員の言うとおり、俺がモテモテで、2人が争って俺の奪い合いをしているように見える。
    訳が分からない。

    それに、俺にとっては2人とも大切な存在だ。
    尊敬する、憧れの存在の兄貴と、恋人である八神と。

    どちらかを選べるはずもない。

    それに俺は、兄貴と八神が相棒として、一緒に仕事をしているのを見るのが好きなんだ。
    こんな風に言い争うような2人の姿は見たくない。

    俺は差し出された2人の手を一緒くたにして、両手で握った。

    「兄貴…3人で一緒に行けばいいんじゃないすか? 」
    「え?」
    「八神も…それでいいだろ?」
    「えっ? あ、ああ…そうだな」

    兄貴と八神が顔を見合わせて、微笑む。

    「東にそう言われたら、そうするしかねぇな」
    「そうだね海藤さん…ひとまず休戦だな」

    ふぅ…なんとか事態は収まったようだ。
    元舎弟の店員が「東の兄貴…魔性の男っすね」とか意味不明なことを口走っているが無視した。

    この時の俺はまだ、海藤の兄貴が俺のことを好きになったとは、思いもしなかった…。


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