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    はねみな

    ( ╮╯╭)<ほどよく

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    はねみな

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    🐉🔥
    両片想い

    今日こそは 恥ずかしくて、申し訳なくて、ずっと言いそびれてしまっていた。
     君がいつも当たり前のようにくれる言葉を、ぼくは一度も返したことがなくて。ありがとうって、それだけしか言えなくて、だから、今日は。今日こそは。
    「はい、これカブさんに」
     見慣れた笑顔で手渡れたのは小さな紙袋だ。小さいのにとても豪華な紙で、中に入っているものもきっとそれに見合うものに違いない。
    「えっと、なんだっけ、ホンメーチョコ? 一番好きな人にあげるやつ、です」
     えへへ、と照れくさそうに、嬉しそうに彼は笑う。
    「カブさんの口に合うといいんだけど」
     それは大丈夫。食べ物の好き嫌いはほとんどない。そんなことより。
    「あの、キバナくん」
     なあに?と甘い表情を浮かべ、彼は小首を傾げる。こんな顔をする子なんだって知ったのはごく最近だ。こんな顔を見せるのがごく一部の人――ぼくだけだと知ったのは、ほんのついこの間のことだ。
    「あの、ぼくね」
    「あ、だめだめ、それ以上はやめて」
     大きな手のひらをこちらに向けて、「NO」の仕草をする。
    「何も言わずにもらっといてください。ほんと、それだけでいいんで」
     違うよ、そうじゃなくて。
    「なーんにも言わないで。オレ、なーんにも求めてないから。マジで、ほんとに」
     じゃあなんでそんな顔をしているの。寂しそうな、困ったような、泣きそうな顔をしているんだい。
    「オレのこと、フッたりしないでください。それだけでいいから」
     ね、と念を押すように言い、えへへ、と笑う。そう、君がいつもそんな顔で笑うから、ぼくは。
     ぼくは、今日こそ。
    「キバナくん!」
    「わ」
     思いのほか大きな声が出てしまい、驚くキバナくんを見上げながら自分でも少しびっくりして、
    「ぼくも! 大好きです!」
     そのままの勢いで声を張り上げる。
    きょとんとした彼はまばたきをするだけで、だからもう一回、
    「ぼくも! キバナくんの! ことが!」
    「ちょ、ちょちょちょっとタンマ、待って待って待って」
    「むぐ」
     手のひらで口をふさがれた。
    「ぎゃっ! すみません!」
     と思ったら弾かれたようにすぐ外され、あわわ、と彼が自分の手のひらとぼくを交互に見つめてはうろたえている。
    「フラなければいいんだよね?」
     ちょっと意地悪く尋ねると、くしゃ、と顔を歪めて、
    「……はい」
     消えそうな声で、泣きそうな顔で、キバナくんは頷いた。



    「あー、ご存知ないかもしれねえんですが、ここ控室です」
     ネズくんに声をかけられ、二人で真っ赤になるのはすぐ後のこと。
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