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    isona07

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    isona07

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    キメツ学園、皆が家帰ったらヨリチがカツカレー作って待ってるって言ってたから…書いた

    兄「父上も母上もよくこんな空気になってた」 この年になると、流石にカツカレーをいっぱいに食うとしんどい。
     黒死牟は勤め先の鬼舞辻議員事務所からの帰り道、胃をそっと撫でながら歩いた。黒いスーツ姿のサングラス男。それが街灯に照らされる歩道をペタペタと歩いている。キメツ学園で行われたハロウィンパンプキンバトル。それの優勝をもぎ取り、何とか『食堂のカツカレー食べ放題チケット』を手に入れてしまうこととなってしまった黒死牟。本当はハロウィンパンプキンバトルで例年配られている、産屋敷邸での晩餐会チケットが欲しかったのだが、今年だけイレギュラーで優勝賞品が変わっていたからして、そのチケットが黒死牟の手に握られることはなかった。
     そんな黒死牟が狙いのチケットの代わりに手に入れた食堂のカツカレーを食べるための券。別段にカツカレーなんぞには心底興味関心はなかったが、もらったものはキチンと使わねばご法度だろうと、これくらいして帰らねば時間を無駄にしてしまった甲斐もないだろうと、そう思って彼は態々手に入れたチケットを使用してカレーを食って事務所に帰り、通常の業務を片付けてそれから帰路についている。辺りはどっぷりと日が沈んでいた。空には星と月が浮かんでいる。それをぼんやりと見上げてそれから彼はハァと溜息吐き出した。今夜もまた遅い帰りだ。別に仕事に不平不満はないけれども、残業が長いことだけは、どうにも良い顔ができない物事であるに違いなかった。
     暗い夜道でもサングラスをかけたまま歩く黒死牟。たまにすれ違う者たちに奇異の目で見られるが、そんなこと彼は知ったこっちゃなかった。彼は一応個人情報を流出させないように極力気を使って生活を行っている。であるので、彼は常に顔を隠すためにサングラスをかけているのだ。おかげで夜道は街灯や月明かりがあっても真っ暗以外の何物でもないが、彼は紆余曲折な人生の中で特別な訓練を受けた議員秘書であるため、夜道でサングラスをかけていても何ら支障はなかった。空気の流れやらなにやらを感じ取って障害物はよけている。このような話をポロッと何食わぬ顔で彼が敬愛する上司の鬼舞辻無惨に言うと、無惨は決まって牙のような歯を出してニコッと笑った後に「んだそれこわ」と至極シンプルな感想を与えてくるので黒死牟はその都度に困惑している。基本彼は『ある人物』ができることは通常頑張れば誰でもそれの十分の一ぐらいの精度であったならば真似ができると、そういった『可笑しな』思想を持った迷惑な人間であるため、彼はよくこういった一般人の感覚と衝突をしてしまうことが多々あった。だがしかして彼のこの思考はもはや病気のような何かに違いないので、彼の周りにいる人間たちは既に、彼のその思考を一般常識の枠に果てはめることができるそれに直そうという、そういう努力を放棄していたし、そもそも本人はこの思想が到底『無謀』なことなのだというそういう認識を、できない致命的な頭を天から与えられてしまっていたので、彼という人間はもはやそういう、『取り返しのつかない』人外枠としてこの世に存在しなければならないのであった。
     そんな人外でも、まぁ、胃もたれには勝てない。いくら筋肉が強かろうが、それと胃腸の強さはまた別物なのである。胃酸の濃度と臓器の運動が年月と比例するように低下していく今日、黒死牟は自身の老いを自覚せずにはいられなかった。前は一端の男児として米も五合ぐらいペロリと行けていたような気がするのだけれども、20を超えてきたあたりからそんな芸当が到底達成できぬ体へと相成ってしまってしまっていた。おじさんに片足突っ込んだ成人男性は、今日の出来事を思い出す。カツカレーで滅茶苦茶に盛り上がっている学生諸君共、本当に、若いって良いな。
     と、そんなことを考えながら歩いていると、家の玄関扉が視界に映ってきた。黒死牟はこう見えて今でも実家で暮らしている。実家というか、母は病弱な体の治療を行うため実家を出て海外の病院に身を寄せており、それに付き添う形で父がついていったからして、実家と言えども親と一緒に未だに住んでいるというわけではないのだが。

    「おかえりなさい」

     家の玄関を開けると、お玉を手にしたエプロン姿の弟が出迎えにやってきた。それに黒死牟は途端に嫌そうな顔をして、それから彼は長男として不愛想に手にしていたカバンを出迎えの弟に押し付けて渡す。それを、弟は嬉しそうに顔をほころばせながら手に取った。その、弟のにこやかな顔に、黒死牟は顔を引きつらせる。両親と一緒に住んではいないとはいえ実家暮らし、実家には未だに弟が身を寄せていた。であるので父母がいない実家のこの状況は、実質兄弟と二人暮らしのそれである。それに、兄である黒死牟は毎回毎回に噛みしめるように嫌気を抱いているのだが、実家を出て一人暮らしをしようと不動産を周り物件を探しすとことあるごとに『不幸』な出来事に見舞われるので、黒死牟は未だに実家暮らしという事実から抜け出すことができないでいた。
    「お風呂にします?ご飯にします?それとも…よ・り・い・ち?」
    「風呂」
     良く分からない弟の良く分からないコミュニケーションを華麗にスルーして黒死牟はスーツを着替える為に部屋に向かった。それを鞄を手にしている弟の縁壱は後ろからついていく。縁壱は、兄から相手にされなかった事柄を別段に気にするそぶりも見せずに何食わぬ無表情でその場に存在し、黒死牟の鞄を持って後ろをついてきた。そのテンションの低さと行動の意味不明さが不気味で黒死牟は昔からこの弟のことが大の苦手であった。末っ子宜しく母親に甘えるのは上手だった弟が、終始兄の後ろを付いてくるのが幼少期はなんだか、ガキ大将気分で気に入ってはいたのだが、この年になるとそろそろ弟の後追いに恐怖を感じてくる年頃である。黒死牟は後ろに極力意識を向けないようにしながら廊下を歩き、自室へと向かう。部屋に入った。弟も鞄を持ってついてきた。黒死牟は自分でくれてやったにも関わらず、弟から自身の仕事鞄をムシリとると、弟を部屋の外に締め出す。バタンと強く扉を閉めた。彼はスーツ姿から部屋着に着替えると部屋の外に出た。黒死牟の部屋の外には既に弟の姿はなく、黒死牟はその事実にソッと溜息吐き出したかと思うと、彼はそれから風呂に入るために浴室へとその足を向けた。
    「どうぞ、洗い立て干し立てです」
     浴室に到着すれば弟が出待ちしていた。手にはバスタオルが存在している。それを黒死牟はチラリと拝見して、それから「……うむ」と控えめな返事をして受け取った。
     これは、父と母のいない実家で行われる毎回恒例の一連の流れであるからして、黒死牟は何だろうか、毎回に諦めた心境を抱かずにはいられない。黒死牟は弟から受け取ったバスタオルを手に、浴室に消えた。体を洗い清める。それが終わると彼は浴室を後にした。リビングに向かう。彼は、弟が用意したであろう夕食を頂戴するためにダイニングテーブルを目指した。そこに並べられている『それ』を目にして黒死牟は「おっふ…」と無意識に声を上げる。黒死牟はダイニングテーブルを凝視した。そこには備え付けのサラダとスープ、それから

     カツカレーの姿があった。

     巌勝はチラリ、と、縁壱を見る。縁壱もチラリ、と、巌勝を見る。双子はその時見つめあった。しばしの時が流れすぎる。そうして彼らは見つめあった後に、無言でカツカレーを同時に食し始めた。
     
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    isona07

    DOODLEキメツ学園、皆が家帰ったらヨリチがカツカレー作って待ってるって言ってたから…書いた
    兄「父上も母上もよくこんな空気になってた」 この年になると、流石にカツカレーをいっぱいに食うとしんどい。
     黒死牟は勤め先の鬼舞辻議員事務所からの帰り道、胃をそっと撫でながら歩いた。黒いスーツ姿のサングラス男。それが街灯に照らされる歩道をペタペタと歩いている。キメツ学園で行われたハロウィンパンプキンバトル。それの優勝をもぎ取り、何とか『食堂のカツカレー食べ放題チケット』を手に入れてしまうこととなってしまった黒死牟。本当はハロウィンパンプキンバトルで例年配られている、産屋敷邸での晩餐会チケットが欲しかったのだが、今年だけイレギュラーで優勝賞品が変わっていたからして、そのチケットが黒死牟の手に握られることはなかった。
     そんな黒死牟が狙いのチケットの代わりに手に入れた食堂のカツカレーを食べるための券。別段にカツカレーなんぞには心底興味関心はなかったが、もらったものはキチンと使わねばご法度だろうと、これくらいして帰らねば時間を無駄にしてしまった甲斐もないだろうと、そう思って彼は態々手に入れたチケットを使用してカレーを食って事務所に帰り、通常の業務を片付けてそれから帰路についている。辺りはどっぷりと日が沈んでいた。空には星と月が浮かんでいる。それをぼんやりと見上げてそれから彼はハァと溜息吐き出した。今夜もまた遅い帰りだ。別に仕事に不平不満はないけれども、残業が長いことだけは、どうにも良い顔ができない物事であるに違いなかった。
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    isona07

    DOODLELが語るダジャレの話。天才のピロートーク。火口が死んだあとの場面
    貴方が綺麗ですね。 夜神月はLと性行為に及んだことがあるが、しかしてキラと呼ばれるものはLなんかと性的接触をしたことなんか一度足りともなかった。これは、夜神月の記憶を司る脳神経の異常によることが所以なのだけれども、それでもこれが事実であるのだからキラという存在としては少しだけ、そう、ほんの少しだけ頭を悩ませずにはいられない。
     腹立たしさと敬意を同時に抱くにふさわしい宿敵、L。それの目を掻い潜るために夜神月は一度『デスノート』なるものの記憶を捨てた。これは、夜神月をキラ足らしめる重要な要素であったからして、この記憶を失った夜神月はキラとしての素質を失う形と相成ってしまった。それは、キラとしての作戦のうちの一つであったから、月としては何ら問題のない物事に違いなかったのだけれども、それでも状況というものは100%思い通りに動くということはなく、彼としては嫌気がさすことに、彼の完璧に思える作戦はほんの少しのどうでも宜しいイレギュラーを発生させていた。それが、世界の切り札『L』とキラとしての記憶を持たない純正な夜神月との性的接触なのだから、キラとしては額に手を当てて項垂れずにはいられない。
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